犬が壁やドアなど硬い物に頭を押し付ける行動をヘッドプレスと言います。
この不思議な行動は、病気のサインの可能性が高いのです。
知らずに放置してしまうと、取り返しのつかないことになりかねません。
そこで、怖い病気のサインの可能性が高いヘッドプレスと、犬が床にお尻をこすりつける理由についてご紹介します。
ヘッドプレスとは?
犬や猫が、硬い壁やドアなどに長い時間頭を押し付ける行動を「ヘッドプレス」と言います。
まるで、いじけているみたい?と笑ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、この行動は病気のサインの可能性がかなり高いと言えます。
脳の中枢神経の損傷など、神経系のトラブルのサインの可能性があります。先天的な要因又はケガなどによって、犬の前脳の特に視床部分が損傷しているサインかもしれません。
ヘッドプレスの他にも、同じ場所をぐるぐる回ったり、同じ場所を行ったり来たりを繰り返したり、部屋の隅でじっとしたまま動かなかった場合にも、同じ病気が疑われるので、出来るだけ早く病院を受診することをおすすめします。
脳腫瘍や脳卒中、肝内シャントを引き起こしている可能性があります。
犬の肝臓の静脈の不具合から生じるもので、肝臓内への血流を妨げることになります。
血流が妨げられてしまうと、肝臓でろ過されなかった血液中の毒素が脳に運ばれてしまい、ヘッドプレスという行動になると言われています。
老犬の場合には、肝硬変や肝臓の機能不全を起こす可能性もあります。
ヘッドプレスをした場合に、疑われる病気
- 前脳疾患
- 脳腫瘍
- 肝性脳症
- 毒性中毒
- 脳卒中
- 脳炎
- 大脳浮腫
- 頭部外傷
- 門脈体循環シャント
- 高低ナトリウム血症などによる代謝性疾患
- 神経系への感染(狂犬病、寄生虫、細菌、ウイルスまたは真菌感染症など)
など。
長い時間、硬い壁などに頭を押し付けているのは、頭痛を和らげるために、圧力をかけているためだと言われています。
犬が頭痛を起こすことは非常にまれなことです。
あまり長時間硬い壁などに頭を押し付けていると、頭がい骨や足などにケガをする危険性もあります。
ヘッドプレスをしやすい犬種
- パグ
- フレンチブルドック
- ヨークシャー
- ボストンテリア
- ビーグル
など
お尻を地面に押し付けていたら要注意!
ヘッドプレス以外にも、奇妙な行動が病気のサインである可能性があります。
その1つが、お尻を地面に押し付ける行動です。
一見おもしろいと思うかもしれませんが、笑っていられないかもしれません。
理由1.肛門腺が詰まっているサイン
犬の肛門の左右両方に「肛門嚢」という臭い袋があります。
肛門嚢は、肛門腺から分泌された肛門腺液が蓄えられる場所です。
汗腺や炎症によって、肛門嚢の出口が腫れてしまい、肛門腺液が排出されなくなると、肛門嚢に肛門腺液が溜まってしまいます。
肛門嚢に肛門腺液が溜まってしまうと、お尻に違和感を覚えて、床にお尻をこすりつけるようになります。
肛門腺液が溜められない状態までになると、お尻の横の皮膚が圧迫されて破れてしまい、破れた部分から肛門腺液が排出されます。
排出されにくい犬もいるので、「肛門腺しぼり」をする必要があります。
お尻を床にこすりつけたり、お尻をなめたりしたら「肛門腺しぼり」を行いましょう。
【肛門腺しぼりのやり方】
犬のシッポを頭の方に傾けて、肛門の両脇を押します。
肛門腺の位置は、時計の4時と8時の方向です。
もし、自分でやるのは自信がないという方は、トリミングサロンや動物病院でも肛門絞りをやってくれます。
一度、コツを教えてもらうのも良いでしょう。
理由2.寄生虫がいる
寄生虫がいると、おしりがムズムズするので、床にこすりつけたり舐めたりすることがあります。
病院受診をして、検便をしてもらいましょう。
寄生虫がいる場合には、犬の症状に合わせた薬の投与をして対応することになります。
理由3.肛門の周辺に腫瘍がある
肛門周囲線腫や肛門腺ガンの疑いがあります。
特に、去勢していないオスの老犬に発生する確率が高くなっています。
初期段階では、あまり目立たず一部が盛り上がっている程度ですが、どんどん大きくなり排便が困難になることもあります。
大きくなると切除部分が大きくなり、肛門の締まりが悪くなるので、小さいうちに手術で切除すると良いでしょう。
去勢をしていない場合には、切除手術をする時に同時に去勢手術も行います。
肛門絞りをしても肛門腺が絞れず、硬い場合には腫瘍の可能性が高いとお考え下さい。
早目の病院受診をおすすめします。
理由4.皮膚炎
皮膚炎の可能性もあります。
アトピーやアレルギーは、皮膚が薄くデリケートな場所に出やすいという特徴があります。
幹部を、床にこすりつけたり辞めたりすると、更に痒みが増すなどの症状を悪化させる可能性があるので、動物病院を受診することをおすすめします。
治療は、かゆみ止めの外用薬や内服薬を投与して痒みを抑えて治します。
まとめ
愛犬がヘッドプレスなどの奇妙な行動をしたら、決して叱ったりしないで下さい。
また、犬が床にお尻をこすりつけている場合にも、病気の可能性があります。
いつもと違う少し変わった行動をしていたら、病気のサインの可能性があります。
犬の様子をよく観察して、おかしいなと思ったら出来るだけ早く病院を受診して、獣医師の判断を仰ぎましょう。
愛犬の命を守るためにも、普段から犬の様子をよく観察するようにしましょう。