「そもそも誤飲しないように防止策を徹底する」ことも大事ですが、やはり「本当に誤飲した場合の対応方法」も知っておく必要もあります。本記事で対処の仕方を具体的に紹介しますのでぜひご覧ください。誤飲によって死亡する犬も少なくありません。万が一のときに適切に対処できるようになってくださいね。
犬の誤飲と飼い主・病院の対応方法|代表的な危険物
まずは、「犬の誤飲物」別に飼い主さんがすべき対応・病院がする対応」を紹介していきます。挙げていくとキリがないので、ここでは「特に危険なもの」に絞ってお伝えしますね。
(表)
品目
症状/飼い主の対応/動物病院の対応
紐・糸類
症状:
長い紐や糸を誤飲すると腸閉塞が発生して、腹痛・食欲低下・吐くなどの症状が発生します。
放置しておくと、「腸に穴ができて腹膜炎に襲われる」「腸が壊死する」などの事態に陥って、そのまま死亡する可能性が高いです。
飼い主の対応:
可能であれば犬が誤飲した紐や糸の長さや太さをチェックし、急いで動物病院に連れていってください。お尻の穴や口から異物が一部出ているかもしれませんが、そのままにしておきましょう。引き抜こうとすると、体内が傷ついて大変な事になります。
動物病院の対応:
「誤飲が原因で腸閉塞になりそうかどうか」を超音波診断、造営診断、X線診断等で判断します。腸閉塞のリスクが高い場合は「開腹オペ」で異物を取り出します。
腸の壊死が始まっていたり腸の穴が酷かったりするケースでは、腸を一部切る可能性もあります。
針・クギ・ピン・画鋲・串等
症状:
尖った異物ですので「消化管粘膜」や「口の中」に穴を作ったり、キズをつけたりする恐れがあります。また、発熱、吐く、腹痛、食欲低下などにも見舞われます。
「小さい異物」ですから、何事もなく体内に出る可能性もないわけではありませんが、期待しないほうが良いです!
飼い主の対応:
「何を誤飲したのか」をチェックしましょう。そして、誤飲物が特定できたのであれば「それを撮影した写真」か「同じもの」を持って、動物病院に向かってください。「特定はできないが誤飲している」という場合も、あまり粘らずに病院に行きましょう。時間との勝負だからです。
鋭利なものを誤飲すると、食道や胃の粘膜に穴やキズを作る場合が多いので絶対に吐かせないでください。
また、誤飲物が非常に小さいものであれば、病院側もあまり救急的な対処はしない可能性があります。ですが、その判断は一般の方にはできないので、まずは必ず動物病院に行ってくださいね。
動物病院の対応:
まずは誤飲物の様子を、超音波診断、造影診断、X線診断等でチェックします。
「排泄物と一緒に体外に出そう&腸閉塞の危険性がほぼない&異物が小さい」というケースでは「繊維の多い食品」を与えて、様子を見る事になります。
食道や胃の粘膜に穴やキズができているのであれば、開腹オペや内視鏡で異物を摘出する流れになります。もちろん必要に応じて麻酔を使うので安心です。
漂白剤
症状:
漂白剤の成分の影響で、消化管粘膜や口の中が傷ついたり炎症に見舞われたりする可能性が高いです。吐血・吐く・異常なヨダレなどの症状が出ます。誤飲とは違いますが、犬の目に入れば視力を失うかもしれませんし、肌にずっと触れていると発疹や水疱が出る恐れもあります。
飼い主の対応:吐かせるのはNG(体内の粘膜にダメージが及ぶので)。吐かないように水をたくさん飲ませたら、すぐに動物病院に向かいます。
漂白剤が犬の肌についたのであれば、ヌメリが消えるまで丁寧に洗います。また、目についたのであれば15分以上水で洗います。症状が出ない場合でも一応獣医さんに診てもらうことをおすすめします。
動物病院の対応:水をたくさん飲ませて体内の漂白剤を薄めます。また、薬で漂白剤の酸の中和・吸着をします。また、その他の対処療法をする場合もあります。
犬が誤飲すると危険なもの|上記以外
以下のものも犬が誤飲すると危険です。
ただし、ここまで解説した品目に比べれば危険度は多少下がります。
ですが、最悪の場合死亡する事に変わりはないので気を付けてくださいね。
- 乾燥剤
- 保冷剤
- 人間用の薬
また、さらに危険度はダウンしますがこれらも危ないです。
- 調理用油
- アルコール
- 使い捨てカイロ
- ティッシュペーパー
- 犬用シーツ
- プラスチック
- 玩具
- ボール
- 布
- ソックス
- 電池
- お金(硬貨)
犬が誤飲した場合に飼い主が必ずすべきことは?
色々と紹介しましたが、犬が何を誤飲した場合であっても
- 本当に誤飲したのか確かめる
- 何を誤飲したのか確かめる
- 誤飲物と同じものか「その写真」を持って動物病院にいく
- 吐瀉物があればそれも持っていく
ことを心掛けてください。
「動物病院に行く」という事は犬にとって多大なストレスになりますので、まずは「1」を行いましょう。
ただし、「誤飲していない」と100パーセント確信できないのであれば獣医さんに診てもらってくださいね。
そして、できれば「とにかく冷静に」対応したいところですが、
現実にはそうならない場合もあります(相手が大切なワンちゃんですしね)。
そういったときには、色々考えたり対処したりするのは諦めて、すぐに動物病院に電話をかけて助言をもらうか、そのまま動物病院に向かいましょう。
まとめ
犬が何かを誤飲したケースにおける対処方法を紹介しました。「特に危険な品目」として挙げたものに関しては、印刷してどこかに貼っておいてはいかがでしょうか。誤飲によってワンちゃんが死亡する場合さえあるので「きっと排泄するでしょ」と油断せず、すぐに動物病院に行くことを強くおすすめします。