愛犬が、昼間は静かに寝ていたのに、飼い主さんが寝る頃になると夜鳴きが始まってしまい、眠れない夜が続いているという方は、あなただけではありません。
毎晩、愛犬の夜鳴きに頭を悩ませているという方は大勢いらっしゃいます。
そこで、犬の夜鳴きをなんとかしたい飼い主さんに、試して頂きたい方法をご紹介します。
犬の夜鳴きの主な原因
犬の夜鳴きを改善するためには、まず最初に原因を究明することが大切です。
夜鳴きの原因は、1つではありません。
一般的な犬の夜鳴きの原因をご紹介します。
老犬である
あなたの犬は、何歳ですか?
夜鳴きの原因の1つに、老化が挙げられます。
老犬と言っても、2段階あります。
人間でいうと、60~70歳くらいの老犬の中でも若手に入る年齢と、90歳くらいのベテランの老犬の2段階です。
■若手の老犬
人間の年齢に例えると60歳を超えたくらいの、老犬と言ってもまだまだ元気な老犬の夜鳴きの主な原因は
- お腹が空いた、トイレに行きたいなどの要求
- 視覚や聴覚が衰えたことによる不安
の2つが挙げられます。
お腹が空いている時には、フードを与えましょう。
ここで注意して頂きたいのは「お腹が空いたら吠えればいい」と覚えてしまうと、夜鳴きが悪化してしまう恐れがあるという点です。
まずは、フードは毎日正しい量をあげているか確認してください。
正しい量をあげている場合には、フードの量は変えずに食事の回数を増やしてみましょう。
昼間に適正量を与えて、更に夜追加でフードを与えてしまうと、夜鳴きがやんだとしても肥満や他の病気の原因になる可能性があるので、1日に与えるフードの量は変えないで下さい。
寝る少し前にフードをあげて、寝ている間にお腹が空かないように時間調整をしましょう。
適正な量のフードをあげても、お腹が空いて夜鳴きをする場合には、獣医師に相談して下さい。
トイレに行きたくて夜鳴きをする場合には、寝る前には水分量を控えさせて、必ずトイレを済ませてから寝るようにしましょう。
視覚や聴覚が衰えた事による不安で夜鳴きをする場合には、飼い主さんと同じ部屋で寝かせてあげるのも良い方法です。
飼い主さんと同じベッドで寝るのはNGです。
飼い主さんと同じ部屋で寝ることで、犬は不安が解消されて安心して寝ることが出来ます。
■ベテランの老犬
人間に例えると90歳くらいの老犬になると、体のあちらこちらに不調が出てきます。
夜鳴きをする原因として考えられる事が多く、中には夜鳴きの原因が1つではない場合もあります。
・認知症を患っている
・体に痛いところがある
・体内時計が狂っている
などが、主な原因として挙げられます。
認知症を患っている場合には、飼い主さんと同じ部屋で寝る事によって、不安が解消されて夜鳴きが治る事があります。
他にも、昼間にしっかりとお散歩をして適度な疲れを感じることで、夜ぐっすり眠れるようになる事があります。
認知症に関しては、後ほど詳しくご紹介します。
体に痛みがある場合は、ブラッシングの際などに、気を付けて全身をチェックすると良いでしょう。
触られて嫌がる場所があったら、痛みがあるのかもしれません。
痛みのある場所を出来るだけ早く見つけてあげて、処置をするようにして下さい。
体内時計が狂っている場合には、明るい時間に散歩に連れて行き、体内時計を修正してあげましょう。
お日様の光を体に浴びて、昼間にしっかりと体を動かすことで、体内時計の修正だけでなく、心地よい疲れを感じることが出来て、夜鳴きをすることなくよく眠れるようになります。
ただし、あまり無理をすると疲れすぎて眠れなくなるので、犬の様子を見ながらお散歩の時間や距離を調整するようにして下さい。
運動不足
老犬ではないのに、夜鳴きをする場合には、運動不足である可能性があります。
毎日、お散歩出来ていますか?
または、家の中でも体を動かして遊べていますか?
特に子犬や成犬の場合、昼間に充分な運動が出来ていないと、体力があり余ってしまい、良質な睡眠がとれずに、夜鳴きをしてしまう可能性があります。
もし可能であれば、1回1時間のお散歩を1回30分のお散歩を2回に回数を増やしてあげましょう。
他にも、広い公園に連れて行ってあげたり、時間のある時にはドッグランへ連れて行き、思いっきり走らせてあげましょう。
雨で外に出られない時には、無理してお散歩に連れて行く必要はありません。
部屋の中で、少し長く時間を取って遊んであげましょう。
体を動かさなくても、知育玩具で遊ばせてあげるのも良い方法です。
例えば、転がすと中からおやつが出てくる仕組みになっているおもちゃを与えてみて下さい。
夢中になって遊んでいると、頭を使うので知らないうちに体力を消耗しています。
犬にとってはおやつももらえるので、一石二鳥です。
しっかり運動をして体を動かしたり、頭を使うことは、良質な睡眠へとつながります。
発情期
成犬になると、メスは年に2回発情期があります。
オスには発情期はありません。
発情期になるとメスは半径2kmもの広範囲に届くフェロモンを出すため、メスのフェロモンを感じ取ったオスは、興奮して夜鳴きをします。
メスの犬を一緒に飼っていなくても、半径2km内にメス犬がいれば、フェロモンを感じ取ったオスは、夜鳴きをしてしまいます。
発情期による夜鳴きは、本能なので予防するのは難しいのですが、対策としては、避妊や去勢をするという方法もあります。
避妊や去勢をすることは、可愛そうだと思われる方もいらっしゃいますが、夜鳴き対策だけでなく、生殖器疾患の予防にもなるのでご一考下さい。
寂しい
犬は、もともとは群れで生活をする動物でした。
人間のパートナーとなり、1頭または数頭でしか暮らすことが出来ないと、寂しい気持ちになったり、不安を抱いたりして、夜鳴きをする事があります。
特に、犬を迎え入れた直後は、今まで一緒に暮らしてきた母犬や兄弟犬と離れ離れになってしまい、不安になる気持ちは理解できます。
対策としては、出来るだけ早く犬が落ち着ける場所を作ってあげる事です。
犬の寝る場所に、やわらかい素材の物や湯たんぽなどの暖かい物を置いてあげるのも良い方法です。
温もりを感じられる場所や落ち着く場所があれば、寂しさを感じることなく、安心して眠ることが出来るため、夜鳴きをしなくなります。
老犬の認知症について
犬の認知症は、認知機能不全症候群と言います。
認知症の症状の1つに夜泣きがあります。
老化によって、脳の機能が衰え、認知機能が低下してしまい、飼い主さんの事がわからなくなってしまったり、自分でも感情のコントロールが上手く出来なくなってしまいます。
飼い主さんの事がわからなくなってしまうのは、愛情不足ではありません。
飼い主さんの愛犬に対する愛情と、認知機能の低下は比例していないので、少し寂しい気持ちになりますが、「病気である」と認識して下さい。
犬の認知症の原因の1つとして「不安」が大きく関わっていると言われています。
老化によって、今まで出来ていた事がだんだん出来なくなる事で、犬は不安になってしまいます。
不安が募ることで、認知症の症状が進んでしまうのです。
出来るだけ、犬に不安を与えないようにすることが大切です。
認知症の犬に見られる行動
・夜鳴きをする
・呼んでも反応が鈍くなる、反応しなくなる
・トイレをよく失敗するようになる
・同じところをグルグル回る
・甘えん坊になる
・昼と夜が逆転する
など、他にも様々な症状が現れます。
まずは、愛犬が認知症であることに、気づいてあげる必要があります。
年を取ると、犬も動きが鈍くなってしまったり、反応が遅くなるのはよくある事です。
また、犬は1日のうち12~15時間程度の睡眠を取るため、昼間によく寝ていても、昼と夜が逆転しても、なかなか気づかないかもしれません。
そんな中でも、夜に落ち着きなく動いていたり、騒ぐようになったら、認知症を疑いましょう。
認知症による夜鳴き
夜鳴きの原因はいくつかあるという事をご紹介しましたが、認知症による夜鳴きには特徴があります。
それは、「一本調子で鳴き続ける」という点です。
お腹が空いていたり、寂しい時など感情を伴って鳴く時とは異なり、認知症の時には感情とはリンクせずに、ただ鳴くという特徴があります。
感情がないままに鳴くので、一本調子で鳴き続けるのです。
また、理由はわからないのですが、なぜか飼い主さんが眠りにつく時間帯から早朝にかけて、夜鳴きをするという特徴もあります。
一度鳴くのを止めても、少し時間をおいて鳴きだすという行動を繰り返す事もあります。
他にも、悲鳴のような鳴き方をするのも、認知症の特徴です。
飼い主さんにとっては、とても辛いでしょう。
認知症の犬の夜鳴きの対処方法
犬も、夜鳴きをしたくてする訳ではないので、対処方法はとても難しいです。
今まで築き上げてきた信頼関係も、子犬期のしつけも、認知症を患ってしまうと、認知することが出来なくなってしまいます。
■昼間は太陽に当たる
まず最初にやって頂きたいのは、生活のリズムを整える事です。
歩けるようでしたら、昼間にお散歩に連れて行きましょう。
日中、お日様に当たる事は昼と夜を認識させるためには、とても良い事です。
長時間、長距離のお散歩は足腰に負担をかけてしまう可能性があるので、ほんの数歩でもかまいません。
歩けない場合には、部屋の中のお日様が当たる場所に連れて行ってあげるだけでも、効果があります。
全く動けない犬の場合には、お日様が当たる場所でマッサージをしたりするだけでも大丈夫です。
逆に、夜は暗くして、静かに過ごすようにしましょう。
■獣医師に相談する
認知症は、病気です。
飼い主さん一人の力では対処しきれない場合には、専門家である獣医師に相談しましょう。
犬の夜鳴きが続くと、飼い主さんの心も体も疲れているはずです。
特に、かかりつけの獣医さんがいる場合には、犬の健康状態をよく理解してくれて、適切なアドバイスや治療をしてもらえます。
例えば、夜鳴きの原因が体に痛みがある場合には見つけてくれますし、薬が必要な場合には適切な薬を処方してくれます。
夜鳴きをする犬に処方される薬は、動物用の抗不安薬や睡眠導入剤があります。
薬の効果には、個体差や副作用が出る場合があるので、飼い主さんと相談して決める事が多いです。
サプリメントを勧められる場合もあります。
犬の夜鳴きによって飼い主さんの健康が害されてしまう場合には、数日間動物病院に犬を入院させる場合もあります。
まとめ
犬の夜鳴きについて、ご紹介しました。
犬が夜鳴きをすると、飼い主さんも眠れずに辛いですし、ご近所迷惑になってしまうので、気になります。
夜鳴きを改善するためには、まず原因を知ることが大切です。
どうしても夜鳴きが治らない場合には、飼い主さんだけで悩まずに、ぜひ獣医師に相談して下さい。