犬も人間同様に、新しい細胞が生まれると、古くなった皮膚がはがれ落ちます。
多少フケが出ることは、問題ありません。
しかし、いつもよりもフケが目立ったり、かゆみや脱毛の症状が見られる場合には、病気のサインの可能性があります。
そこで、犬のフケの原因と正しい対処の方法をご紹介します。
犬のフケが出るメカニズム
健康な状態の犬は、新陳代謝が正常の行われ、古くなった皮膚がはがれ落ち、フケとなって出てきます。
新しい細胞が生まれて、古くなった皮膚がはがれ落ちることを「ターンオーバー」と言います。
このターンオーバーは、犬の場合3週間のサイクルで繰り返されます。
つまり、フケが出る事は新陳代謝が正常に行われている証拠でもあります。
ブラッシングやシャンプーなどのお手入れをきちんと行っていれば、フケが目立つことはありません。
フケが目立っている場合には、犬の皮膚にトラブルが発生している可能性があります。
犬のフケの原因となる病気
犬のフケが増える原因となる、代表的な病気をご紹介します。
ツメダニ症
ツメダニ症は、「歩くフケ」と言われるほど大量のフケが出る病気です。
症状は、大量のフケが出る他、かゆみや脱毛を伴う場合があります。
原因は、ツメダニという寄生虫です。
大きさは約0.4mm~0.6mmと肉眼で確認することが出来る大きさです。
ツメダニは草むらや動物に生息していて、お散歩時に草むらを歩い時や、他の動物から犬に寄生します。
ツメダニは、人間にも感染するので、ツメダニを発見した場合には、出来るだけ早く動物病院を受診しましょう。
ツメダニ症の治療方法は、薬によるツメダニの駆虫や薬用シャンプーを使った沐浴です。
ツメダニは、宿主がいなくても約10日間は生息することが出来るので、ツメダニ症を発症したら、部屋の中を掃除することをおすすめします。
皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)
皮膚糸状菌症は、子犬や高齢の犬に多くみられる皮膚病です。
皮膚糸状菌というカビの一種に感染すると起こります。
症状としては、脱毛や痒みなどがみられます。
これは、感染箇所から菌を追い出そうとして皮膚のターンオーバーが早まるために起こります。
治療方法は、薬用シャンプーや飲み薬を使うことになりますが、治るまで数か月かかる場合があります。
人間にも感染する可能性があるので、早めに治療を行うことをおすすめします。
マラセチア皮膚炎
マラセチアは、犬の皮膚に常に存在する菌ですが、高温多湿などの一定の環境下で異常繁殖してしまうと、皮膚に炎症を起こしてしまいます。
症状としては、フケが出たり脱毛やかゆみ、酷くなると油が酸化したような悪臭がする場合があります。
治療方法は、抗真菌薬の投与と殺菌作用のあるシャンプーの使用です。
アトピー性皮膚炎
犬も人間と同様にアトピー性皮膚炎を起こすことがあります。
ハウスダストやダニなどに対して、アレルギー反応を起こしてしまい、肌が乾燥しフケが出やすくなります。
アトピー性皮膚炎の主な症状は、患部の乾燥により、フケやかゆみ、発疹などがあり、掻いたり舐めたりすることによって、症状が悪化してしまいます。
合併症として、結膜炎や外耳炎になる事もあります。
治療方法は、炎症やかゆみを抑えるためにステロイドや抗ヒスタミン薬を使います。
病気以外にもフケが増える事がある?
上記でご紹介した病気以外にも、フケが増えてしまう場合があります。
皮膚の乾燥
主に短毛種によく見られますが、それは肌の乾燥です。
人間も頭皮が乾燥することによってフケが増加する場合がありますが、犬も肌が乾燥することによってフケが増加してしまうのです。
乾燥肌の犬には、保湿成分入りのシャンプーを使うことをおすすめします。
ストレス
犬は、ストレスが溜まってしまうと皮膚を頻繁に舐めてしまう事があります。
皮膚を舐めることによって、皮膚トラブルが生じてしまいフケが増える事があります。
愛犬の様子をよく観察して、ストレスの原因として思い当たる事があれば、改善するようにしましょう。
シャンプーに問題がある
シャンプーが合っていないと、フケが増えてしまう事があります。
乾燥肌の犬の場合には、保湿成分が配合されている物に変えましょう。
また、シャンプーの仕方に問題がある場合もあります。
犬の皮膚を強く洗いすぎてしまったり、すすぎ残しがあったり、シャンプー後にしっかりと被毛を乾かしていないなどの場合には、フケが増えてしまう事があります。
シャンプーの仕方を一度見直してみると改善される可能性があります。
犬のフケを予防する方法
飼い主さんに出来る事は、犬の体や犬が過ごす場所を清潔に保つことです。
皮膚病の原因は1つではありませんが、日ごろから被毛や皮膚を清潔に保つことは、犬の健康にとって重要です。
- 毎日きちんとブラッシングをする
- シャンプーは正しい方法で行う
- 犬が過ごす場所を清潔に保つ
- ストレスを溜めないようにする
- 皮膚に異常を発見したら、早めに動物病院を受診する
以上の5点を心がけるようにしましょう
まとめ
犬のフケが増えた時に疑われる病気の原因と対処方法をご紹介しました。
フケが出る事は、新しい細胞が生まれ変わり、古くなった皮膚がはがれ落ちるという自然な現象なので、問題ありません。
しかし、普段よりも明らかに大量のフケが出たら、なんらかの病気のサインの可能性があります。
かゆみから身体をかいてしまい、炎症が酷くなる場合があるので、早めに動物病院を受診しましょう。