犬の噛み癖で悩んでいる飼い主さんは、大勢いらっしゃいます。
犬の噛み癖は、飼い主さんのお困りごとベスト3の常連です。子犬のうちは、じゃれて噛んでいる姿は可愛いですが、噛み癖がついてしまうことはよくありません。
ご安心下さい。犬の噛み癖には、タイプごとに異なる改善の方法があります。
犬の噛み癖の種類と、それぞれの対処の仕方を詳しくご紹介します。
Kawashima
犬の噛み癖は3種類!タイプ別噛む理由とその改善方法
犬の噛み癖には3つの種類
噛み癖には、3つの種類があります。
- 甘噛み・じゃれ噛み
- 試し噛み
- 本気噛み
犬の噛み癖の種類別しつけ方法
噛み癖は「その噛む理由」でタイプ別でしつけします。
種類 | 理由 | しつけ方法 |
---|---|---|
甘噛み・じゃれ噛み | 歯がかゆい、飼い主さんへの愛情表現の1つ | 言葉で叱る+動作 |
試し噛み | 甘噛み・じゃれ噛みを許してきてしまった結果 | 言葉で叱る+動作+飼い主の強い姿勢 |
本気噛み | 特定の物事に対する防衛反応 | ケガをする危険性が高いので、プロに相談 |
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それでは、その前に
何故、噛み癖をしつけなおす事が必要なのでしょうか?
結論から言いますと、
「ほかの人を傷つけてはいけない」
「愛犬の身を守るため」
です。
犬にはもともと本能の一つとして「噛む」という行動があります。
しかし、人間と犬が一緒に生活するためにはそういうわけにはいきません。
犬の噛み癖が遊びの延長だったとしても、ほかの人を傷つけてしまっては、重大な咬傷事故に発展する危険性があります。
事故やトラブルが起こってしまうと、愛犬を手離さなければなりません。
それは「愛犬のを守ってあげられなかった」ということなります。
ですから、飼い主の責任として「噛み癖をしつける」事が必要になるのです。
犬の噛み癖を直すことは咬傷事故(こうしょうじこ)を防止する上でとても重要
民事調停または、民事裁判に発展する可能性もあります。
2017年3月9日10カ月の女児、飼い犬にかまれ死亡 東京・八王子
9日午後4時35分ごろ、東京都八王子市北野台5丁目の民家から、「女の子が犬にかまれた」と119番通報があった。救急隊が駆けつけたところ、生後10カ月の安田翠(みどり)ちゃんが頭から血を流しており、約2時間後に死亡した。現場は翠ちゃんの母親の実家で、飼い犬のゴールデンレトリバー(4歳オス、体重約37キロ)にかまれたという。
2019年9月30日公園で散歩中のトイ・プードル娘の手を噛んだと父親が連れ去り!飼い主は「捜して」と呼びかけ
札幌市内の公園で、小型犬トイ・プードルに女の子が手を噛まれ、怒った父親が犬を連れ去る騒ぎがあった。飼い主の女性がツイッターで行方がわからなくなっていると投稿し、やっと見つかった。
9月30日(2019年)の午後6時頃、女性はトイ・プードル(4歳オス)と散歩に出かけ、首輪をつけていたが、足に怪我をしていたため、胸に抱いてベンチに座っていた。そこへ2、3歳の女の子が近寄ってきて、犬に触ったところ、犬が手を噛んだ。
https://www.j-cast.com/tv/2019/10/04369276.html
噛み癖について
噛み癖直しの第一歩は観察です!
- 噛む強さ
- 犬の表情
- 感情の高ぶり
更に
トレーニング(しつけ)は、「犬には楽しく!明るく!を前提に接する」「時には厳しく教える」が大切です。
犬に勘違いをさせないように、人も適切な対応をするようにしましょう。
犬が噛む理由
犬が噛む理由はひとつではありません。3つの主な理由をご紹介しましょう。
- 防衛本能
- 遊び
- 意思表示
1.防衛本能
急に人が触ろうとすると、犬は「噛まれる」と勘違いして、噛んでしまうことがあります。
犬が嫌がっているのに無理やり触れて噛まれたという方もよくいらっしゃいますが、これがまさに自己防衛反応でが働いたと言えます。
2.遊び
犬は、遊びの中のひとつの行動として、噛むことがあります。子犬のころは、兄弟犬たちと遊びの中で噛み、強さの加減を知るのです。
3.意思表示
飼い主さんの手を甘噛みしたりするのは、愛情表現の一種です。飼い主さんが大好きだという気持ちを伝えるために、噛むことがあります。
噛み癖は、段階を経て種類も変化していきます。
それでは、甘噛み・じゃれ噛み、試し噛み、本気噛み、タイプ別にご説明致します。
甘噛み・じゃれ噛み
甘嚙み・じゃれ噛みの様子
- 反射的に噛んでくる
- 遊んで欲しくて(要求の一環)
- しゃぶる
- 歯を当てる
- 舐める
甘噛み・じゃれ噛みとは
犬はただ甘えているだけでも、犬の気持ちとは裏腹に噛む力が強い場合もあります。
子犬期によく見られる行動ではありますが、成犬になっても抜けない事も少なくありません。
甘噛みやじゃれ噛みは、愛情表現のひとつであり遊びの一環でもあります。
更に、歯が痒くて噛むこともあり、犬には全く悪気はありません。
しかし、噛むことを許してしまうと、行動はエスカレートしてしまい、人を噛むことや歯を当てる事への抵抗がなくなり、普段から噛みつくことで感情を表現することが習慣化してしまいます。
それは、飼い主さんだけでなく、他人に対しても行う可能性があります。
Kei
甘噛み・じゃれ噛みをする理由
甘噛み・じゃれ噛みは、噛み癖の初期段階と言えます。純粋に「ただじゃれているだけ」の可能性が高く、飼い主さんへの愛情表現の1つです。
しかし、噛むという行為は、犬に悪気が無くても、ケガをさせてしまう危険性があります。
犬に「いけない」という事を、伝えなくてはなりません。
犬の甘噛みには種類があるってホント?!【直し方】辞めさせにはどうしたらいいの?
甘噛み・ジャレ噛みのしつけ方法
- 1回目の指示:言葉のみで叱る(チャンス)※
- 2回目の指示:言葉で叱る+動作(強制)
これが基本となります。
1回目は「ダメ」と、言葉のみで叱ります。
Kei
1回目は「ダメ」と、言葉のみで叱ります。
叱る時は「低い声」が鉄則です。
明るい声(高い声)で叱っても、犬は叱られている気にならない事が多々あります。
女性よりも男性の方が指示語が通りやすい傾向にあるのは、その為です。
逆に、男性が褒めても声のトーンが低いため、威圧感を覚えてしまうことがあるので、表情や声のトーンに気を付け、気持ちを前面に出して伝えると良いでしょう。
※チャンスとは、指示に従うチャンスを与えるという意味です。
基本的に指示は一度しか与えません。
何度も指示を出すと、それが当たり前になり、ルーズになってしまうからです。
1回目の指示でやめない場合は、2回目の指示を行います。
「ダメ」と叱ったにも関わらず、犬が行動を辞めない場合には、「ダメ」の言葉に危機感を教えなければなりません。
2回目の指示をする際は、止めさせますよ~っと犬に「負のイメージ」を与え、1回目の指示を無視したらいけない事を教えていきます。
2回目の指示:開いた口を閉じさせるイメージで、手で下方から下顎をすくい上げる。
このしつけは、賛否両論のある天罰方式に近い方法になりますが、飼い主さんのやり方が失敗して愛犬が気づいたとしても、アフターフォローをしっかり行えば、犬が人を怖がる心配はありませんのでご安心下さい。
メモ:アフターフォローの確認
ポイント
びっくりさせることが目的です。
痛みで教えるのではないので、力は必要ありません。
注意点
犬の視界から直接行うと、手が怖く(ハンドシャイ)なってしまう可能性が高いので、見えない位置から実施してください。
天罰方式ってなに?
学問的にいうと、オペラント条件付けのひとつです。犬が何かいけないことをした時、飼い主さんが直接叱るのではなく、あたかも天が罰を与えたかのように犬にとって不快な出来事が起こったようにします。
2回目の指示:マズル(口)をつかみ、ホールドする。
- 犬の抵抗に負けて途中で離さない
- 飼い主さんの「伝える」姿勢を貫く
- 中途半端な行動はNG!!
1.犬の抵抗に負けて途中で離してしまわない
暴れる場合は、しっかりと抑え、犬が納得して力が抜けるまで続けてください。
犬の抵抗に負けて、途中で離してしまうと「暴れると逃げられる」「鳴けば許してもらえる」などと間違った学習をしてしまいます。
2.飼い主さんの「伝える」姿勢を貫く
一貫して「いけない事はいけない」と伝えなければなりません。
3.中途半端な行動は犬にも良い学習をさせる事が出来ません
中途半端な行動は、状態を悪化させてしまい、犬にも良い学習をさせる事が出来ません。
途中クンクン(鼻鳴き)や、必死に抵抗してきますが、呼吸が出来ている事を確認しながら、犬が諦め、無の状態になったら離します。
ポイント
感情的に叱らず、冷静に犬の状態を把握しながら実施しましょう。
注意点
鼻の孔を手で塞がない様にしてください。
※それぞれワンちゃんの性格、状況によって異なり、ワンちゃんに合った方法を見極める必要がありますので、プロのドッグトレーナーにご相談の上、実施してください。
24時間対応。いつでもご相談ください。
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試し噛み
試し噛みのシチュエーション
- 明らかに人の手や足などを狙って噛む
- 何か理由があって抵抗して噛む
- 歯を当てる
- 舐める
試し噛みの特徴
- 噛むことによって相手がどのような行動するかを試している
- シンプルに楽しんでいる
- 主導権を犬が握りたい時に噛む
相手を試す時に使う行為です。血が滲むほど強い場合もあります。
どの程度の力で噛んで良いのか?噛んでも良いものなのか?などを試す行動で、舐めるという行為で試してくる場合もあります。
どのような行動に出るのかを試している
人に対して噛む場合には、噛むことによって相手がどのような行動に出るのかを試している可能性があります。
また、遊びや触れ合いの時に、犬が主導権を握りたい時にも試し噛みをします。
シンプルに楽しんでいる
人を噛んでは離れ、噛んでは離れるという行為を繰り返すという特徴があります。
飼い主の反応を見て、愛犬はただただ楽しんでいます。
マウンティング行為
試し噛みの行動を取る際、それに付随してマウンティング行為(支配行動)が出る場合もあります。
人を試す行為を許してしまうと、愛犬に振り回される可能性が高くなるでしょう。
試し噛みの理由
人を試す行為である「試し噛み」に発展してしまっているという事は、「甘噛み・じゃれ噛み」を許してきてしまったという事です。
人間と犬が一緒に生活するためには「指示」は、犬の安全や命を守るためにとても重要な役割を果たしています。
指示は、徹底して守らせる必要があります。
指示を教える飼い主さんが、愛犬に試される状態にあるのは、良いとは言えません。
飼い主さんは、毅然とした態度で、愛犬に指導をしなければなりません。
「試す」行為は、徹底的に辞めさせましょう!
試し噛みのしつけ方法
Kei
試し噛みしつけポイント
- 根気よく飼い主さんの意思を伝える
- 飼い主さんの「私について来い!」自信と強気な対応が大事
基本的なしつけ方法は「甘噛み・じゃれ噛み」と同様の対応で問題ありません。
すぐに改善するのは難しいかもしれませんが、多少時間がかかっても根気よく飼い主さんの意思を伝えましょう。
- 行動が変化しない
- エスカレートしている
などの場合には、伝える「力」が弱くて伝わっていない可能性が高いです。
試し噛みで一番重要な事
「犬は、言葉(指示)で制するのではなく、「気持ち」で制する」
本当に辞めてほしいという気持ちが愛犬に届くようにぶつけましょう。
気持ちが伝わらない犬は、1匹もいません。
飼い主さんは、自信をもって「私について来い!」と、強気な対応をしましょう。
本気噛み
よくある「本気噛み」のシチュエーション
- ご飯中に近づくと威嚇する。食器を取り上げられない
- 足先を触ると、威嚇して噛みに来る
- 抱っこをしようとすると、威嚇し噛みに来る
- ブラッシングをしようとすると噛みに来る
などがあります。
攻撃や防衛など、何らかの刺激があった時に本気で噛んでくる行動
基本的には、「唸り」や「威嚇」の後に出る行為ですが、追い込まれていると瞬間的にも出る場合があります。
本気噛みとは
本気噛みは、「噛み癖」の最終形態です。
かなり問題がある状態です。
トレーナー側もケガをする危険性が高いでしょう。
本気噛みのシチュエーションは色々ありますが、特定の物事に対する防衛反応が異常に発達してしまい、一切寄せ付けない状態です。
ここまでの段階になるまでには、必ずきっかけがあったはずです。
一度、本気噛みをすることが当たり前になってしまうと、改善するためには多くの時間と労力が必要となります。本気噛みは、臆病(シャイ)な子や、自己主張が強い子、わがままな性格の子に多く見られます。
厳しい事を言うようですが、対応を間違えてしまった飼い主さんの責任でもあります。
実際に対応をした愛犬の例をご紹介します。
本気噛みの理由
嫌な事をされたら噛めばいい
本気噛みは、かなり良くない行動です。犬の頭の中では「嫌な事をされたら噛めばいい」という悪い流れになっていることが多く、噛んで解決する事が当たり前の事と思っています。
犬自身に悪気は全くありません
本気噛みは、日々の生活の中で学習して出た行動の場合が多く、犬自身に悪気は全くありません。
この行動は、どの犬種でも起こりうるので、しつけが必要なのです。
重症化した例
中型犬→小型犬要素に加えて、指や手などの体の一部を噛まれ、大量出血をして縫うほどのケガをした
大型犬→中型犬要素に加えて、体の一部を取られたり、食べられたりした
きっかけは何であれ、ここまでの状態になってしまうと、飼い主さんの手には負えない事がほとんどです。
プロのドッグトレーナーに相談をしましょう。
ご自身でしつけするのは危険ですので、プロのドッグトレーナーに相談しましょう。
本気噛みのしつけ方法
本気噛みは、「噛み癖」の最終形態です。
本気噛みをする場合には、生活環境を見直す必要があるでしょう。
時間、労力を使って、根気よくしつけを行いましょう。
トレーニングの際に、ケガをする危険性が高いので、プロのドッグトレーナーに相談しましょう。
メリハリのない指導は、犬が勘違いします
犬の性格は、生活環境や育て方によって大きく変わります。メリハリのない指導をしてしまうと、犬が勘違いしてしまう可能性があります。
参考になると思いますので紹介いたします。
「マテ」の指示徹底する
まずはじめに「マテ」の指示を、徹底して教えていきます。
噛みつく行為にたいして叱っても、反発が大きいだけで、叱りどころが多すぎる傾向になります。
「マテ」の指示を徹底すると改善に繋がります。
それでは、具体的な例でご説明します。
例:ブラッシングをする時
(ここに画像)
手順1:まず最初に犬を座らせて、待たせます。
(ここに画像)
手順2:ここで”マテ” をかけます。
(ここに画像)
手順3:ブラッシング中に動いて噛みに来たら、マテを無視した事になるので、再度 “マテ” をかけ直し、元の位置に戻します。
手順1〜3を繰り返し行うことで、マテを徹底して教え込むことが出来ます。
マテの指示さえわかれば、人が犬に対して行動を起こすことが出来るようになっていきます。
マテの指示は、「動きを止めること」
マテの指示は、「動きを止めること」として教えるので、徹底することで、どんなシチュエーションにおいても、動きを止めることが可能になります。
Kei
とはいえ、犬の本能から出る行動を改善してもいいの?と思う飼い主さんの意見もあるかと思います。
『犬の本能を「人間に都合のいいルール」で押さえつけるものは、如何なものか』という、意見もあるかと思います。
もっと自由に、のびのびと育ててあげたい、噛む行動は本能だから仕方ないんじゃなないか。噛むおもちゃでストレス解消してあげれば大丈夫と、思う飼い主さんもおられると思います。
そういった方は、
大きな広い土地を購入して、愛犬と一緒に他の人の居ない土地にお引越しして自由に暮らしましょう。
そうすれば、ほかの人を噛んだり迷惑をかけることが、ぐっと減ります。
現実味がありませんよね。
そのくらい、犬が人間と一緒の環境で生活するためには、最低限「他人に迷惑をかけない」というルールを設けなければならないという事を、ご理解頂きたいということなんです。
最後に
噛み癖は主に段階を経て強さが増していきます。
犬が嫌う事を「噛む」という行為で抵抗している場合は要注意しましょう。
噛む行為は、ほっておいてもエスカレートするだけなので、飼い主さん自身も噛まれて大事故に繋がる前に必ずしつけしましょう。
咬傷事故(こうしょうじこ)を防止する上でもとても重要だと理解してください。
甘噛み・じゃれ噛みの時点で、犬がそのような行動を起こさなくても過ごせるようなしつけや、教育、生活環境を整えてあげる事が大切です。
そうすることで、本気噛みまで進んでしまうリスクを抑える事が出来ます。