犬がなかなか言うことを聞かず、暴力でしつけたくなる事もあるかもしれません。ですが、それは絶対にダメです。今回は主に「犬への暴力のデメリット」をメインにお伝えしていきますね。ただ、「痛くない体罰」なら基本的にOKですので、それについても解説します。
犬のしつけの事で困っている方はぜひご覧ください。
記事監修:犬のしつけハグ 川島 恵
Kawashima
犬を暴力でしつける事のデメリット
犬を「暴力」でしつけることにはデメリットしかありません。
いくつか代表的なものを挙げていきます。
1:ケガをさせる可能性がある
当たり前ですが、暴力でしつけると犬にケガをさせるかもしれません。
特に小型犬の場合は「手加減したつもり」でも、重傷を負わせる恐れがありますよね。
2:犬の心が歪むかもしれません
暴力を受けることで犬が精神的なストレスを感じ、人間に対して過剰な警戒心・不信感を抱くようになるかもしれません。
人懐っこい犬種であっても暴力が積み重なれば、「いかにも人間を怖がっている犬」へと変化する恐れがあります。
3:無気力化が進む場合も
人間からすれば「悪いことをしたから、それを理解させるために暴力でしつけた」つもりでも、ワンちゃんからすれば「なんで叩かれたの?」となってしまうケースがほとんどです。
言い換えれば「なんだかよく分からないけれど、ぶたれた」という事ですね。
こういう状態が続くと「何もしなければ暴力は受けない」と考えて無気力になったり、消極的になったりするかもしれません。
4:「間違った関連付け」をする恐れも
「○○だから暴力を受けた」
の、○○の部分が歪んでしまうこともあります。
一例として、
飼い主目線→「無駄に吠えたから暴力でしつけた」
犬目線→「吠えたから暴力を受けた」
というズレが生じるケースがあります。
さらには、
飼い主目線→「部屋の中で走り回ったから暴力でしつけた」
犬目線→「走り回ったから暴力を受けた」
なども。
ワンちゃんが「走らないほうがいいんだ」と思い込んで、
部屋のなかでじっとする事が多くなるかもしれません。
または、
飼い主目線→「トイレシート以外(このケースだとタンスの前)で排泄をしたから暴力でしつけた」
犬目線→「タンスの前に行ったから暴力を受けた」
などのパターンも。
今後、ワンちゃんは「タンスの前という場所そのもの」を極端に避けるようになる恐れがあります。
犬を暴力でしつけないための心構え
1:「人間ほど賢くない」と理解する
言い方は悪いですが、「いくら利口な犬種でも、人間ほど賢いわけじゃない」と理解しましょう。人間なら簡単に覚えられる事でも、ワンちゃんは覚えられないかもしれません。
さらに言い方が悪くて申し訳ないですが、「犬が賢くないこと」がイヤなのであれば、
犬を飼うべきではありません。
2:犬は人間に迷惑をかけたいわけではありません
「また私を困らせて!」という感情から、犬に暴力を振るってしまう人がいるかと思います。
でも、ワンちゃんにはワンちゃん側のメリットがあって、
「人間にとっては困る行動」をしています。
例えば、
無駄吠え→そもそも吠えるのは本能です。また、「吠える事で要求が叶ったことがある」なら、それを繰り返すかもしれません
といった感じです。
「私を困らせたいわけじゃないのよね」と分かれば、
自然と暴力は振るわなくなるのではないでしょうか。
3:「犬を飼うことの不自然さ」を理解する
なぜ犬を飼うのでしょうか。
もちろん理由は人それぞれだと思います。
「癒されたいから」「(人間の)子供の教育の一環として」「ヒマだから」「ペットショップで一目惚れしたから」などなど色々考えられますよね。
ですが、これらは全部言ってみれば「人間の勝手」です。
だからこそ、その代償として「住まい」や「エサ」や「楽しさ」を与えるのかもしれません。
ですが、犬のほうとすれば、本当は人間に飼われずに気ままに暮らしたいと考えているかも。
「犬を飼うな」と言いたいわけではありません。
「結局は人間のエゴだよね」という意識を、常に心の片隅に置いておいてほしいのです。
そうすれば、飼い主とワンちゃんの関係性がより良くなっていくはずですよ。
ましてや、暴力でしつけようなんて発想は浮かばなくなります。
犬を「痛みの体罰」でしつけるのはアリです
「体罰=暴力」だと思っている人がほとんどかもしれませんが、
実は「痛みのない体罰」もあります。
例えば、
- 犬の顔を両手で触り、目を合わせて「ダメ」と言う
- 散歩中にリードを一瞬引いて「ダメだよ」と信号を出す
などなど。
「犬がられた理由を理解していること」と
「犬が飼い主をリーダーだと思っていること」が絶対条件ですが(そうじゃないと、このしつけの意味がありません)、
それを満たしているのであれば、取り入れても良いでしょう。
ただし、ここで言う「痛み」には、
「精神的な痛み」の事も入っているので気を付けてください。
例えば「殴るフリ」は物理的には痛くありませんが、犬にとって「精神的に痛い」のでNGです。
まとめ
犬を暴力でしつける事の欠点などを解説しました。
ケガをさせるかもしれませんし、ワンちゃんの心が歪む恐れもあります。
また、犬からすれば「なんで怒られたの?」となるだけなので、「しつけの意味」自体がありません。
必要に応じて「痛みのない体罰」なども取り入れつつ、根気よく楽しくしつけていきましょう。