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【ドックトレーナー監修】犬のしつけの仕方の一種「天罰方式」とは?|人間の精神状態は?

犬のしつけの仕方の一種「天罰方式」とは?|人間の精神状態は?

本記事は特に「これから犬を飼うけれど、どうしつければ良いのか分からない」という方におすすめです。

しつけの仕方の一つ、「天罰方式」について解説します。あくまで「天罰」ですから、「飼い主がやった」と犬に気付かせないようにしましょう。しかし、だからこそ生じてくる「人間側の問題」があると筆者は感じています。

記事監修:犬のしつけハグ 川島 恵

Kawashima

Profile 川島 恵 ドックトレーナーとして12年目の令和元年に東京の世田谷区と文京区にあるドッグトレーニング犬のしつけ教室をオープン。 『スッキリ』(日本テレビ系)犬のしつけ専門家として出演電話出演。 テレビ東京「どうぶつピース!!」に出演。「おやつ、おもちゃ無しのしつけ」でドッグトレーニングする犬のしつけの専門家

犬のしつけ手法の一つ「天罰方式」とは?

「人間(主に飼い主)がやったと分からないように、罰を与えるしつけ方法」のことを「天罰方式」と言います。「天からの罰(に見せかける)」ですね。

ちなみに、人間が普通に叱ったり罰を与えたりする手法は天罰方式とは言いません。

そもそも犬を天罰方式でしつけるのは健全なのでしょうか……?

天罰方式の本質は「飼い犬を騙すこと」にあると筆者は感じています。

言ってみれば「得体の知れない恐怖や困惑」を与えて犬を支配するわけですね。

そのため、犬の性格によっては「何か間違えると、恐ろしい事が発生する」と考えてしまう恐れがあります。人間で例えれば「何だかよく分からないけれど、職場でいきなり上司に怒られる」という事になるでしょうか。

「どんなときに天罰を発動させるか」がブレてはいけません。

天罰方式の目的は、「これをしてはいけない」と犬に覚えさせることにありますから、ここが揺らいでしまうようでは意味がありません。

また人間で例えてみますが、これは「昨日は怒られなかった行動で、上司に怒られる」という事になるでしょうか。

そしてそもそも持病(特に心臓関連)がある犬に対しては、天罰方式のしつけをしてはいけません。じゃあ、「持病のない犬であれば天罰方式を採用してもいいのか」と言うと……。どうなのでしょうか。

何よりも問題なのは、「飼い主がやっているとバレれば、犬から信頼されなくなる恐れがある」という事です。

とにかく筆者はおすすめしませんが、「どうしても天罰方式でしつける!」というのであれば、一生飼い犬にバレないようにしてくださいね。

犬を天罰方式でしつけている「飼い主の精神状態」は大丈夫?

犬を飼う以上は、一生誠実に向き合っていかなければなりません。

もちろん、どこかである程度手抜きをしなければ人間側が潰れてしまうでしょうが、その手抜きは「長期的に安定して犬を飼っていくこと」が目的でなければなりません。

そして、あなたが天罰方式を採用したとしましょう。

たった今は「犬を騙すのも、騙し続けるのも余裕」と感じるかもしれません。

しかし、その精神状態は一生続くでしょうか。

どこかのタイミングで考え方が変わって「騙してしつけするなんて間違っていた!」という気持ちになるかもしれません。

ですが、その時点で天罰方式を長く続けていたとすれば、

飼い主が罪悪感に押しつぶされて天罰方式のしつけをやめてしまうと、「あれ……もしかしてもう大丈夫なのかも……?」と感じて、メチャクチャな行動を取るようになるかもしれません。

あくまで筆者の意見ですが、「動物を飼うこと」の根本には「楽しさ」と「信頼」があるべきだと考えています。

天罰方式では、それが叶うとは思えません。

極論、「犬のしつけ」はそもそも人間のエゴです

「人間にしつけをされること」は、犬にとってそもそも不自然なことです。

「人間側の都合で、人間が住みやすいように」行うのが犬のしつけです。

「その代償として、家やエサを与えている」のかもしれませんが、犬はそんな事は望んでいないのかもしれません。

そういった意味でも、やはり筆者は天罰方式を採用するべきではないと思います。

人間の勝手で犬を騙すなんて……という感じですね。

叱るなら正々堂々叱りましょう

「じゃあ、犬に罰を与えてはいけないのか」というと、そんな事はありません。

罰を与えるなら、正々堂々と罰を与えればいいのです。

例えば、

・噛まれたら「痛い!」と短く叱る

・悪さをしたら好きな遊びをさせない

などなど。

また、近年では「一切叱らない」という方針のペットシッターなども多くなっているそうです。

そこには、

「人間以外の動物を叱っても理解できないから」

「『良い事をしたら褒める』だけにした方が、犬にとっていいから」

などの理由があるようです。

飼い主であるあなた自身が考え続けることが大事です

ここまでお読みになって、

「いやいや、この記事の言っていることはおかしい。ある程度の天罰は必要だ」

「その通りだ。これからは私は犬を褒めて育てる」

「いや、やっても大丈夫な天罰方式もあるはず……

など、色々な考えをお持ちになったとはずです。

それでいいと思います。

筆者は「どうするのが犬にとって良いのか、考え続けること」も飼い主の義務だと考えています。

また、「犬とは~」と漠然と考えるのではなく、「ウチの犬は~」とピンポイントで考えていくことも大事です。

とはいえ一環とした態度が必要です

しかし、あまりコロコロしつけの方式を変えるのは良くありません。

犬が混乱するからです。ある程度考えて、「この方法でいこう」と決めたのであれば、基本的には変えないようにしてください。

まとめ

犬のしつけの一つである天罰方式について解説しました。筆者としては、天罰方式は推奨しません。ただ、本当に大事なのは「このしつけ方法でいいのか」「この飼い方でいいのか」などと、飼い主さん自身が「自分で」結論を出すことです。そして、一度方針を決めたのであれば、あまりコロコロ変えないようにしましょう。