飼い犬に6歳の男の子が顔を噛まれて大ケガをするという事故が起こりました。
男の子にケガを負わせた犬は、生まれた時からずっと一緒に過ごしてきたのに、いったい何が起こったのでしょうか?
犬のしつけの専門家のコメントと合わせて、命を落とす危険もあった、飼い犬による事故についてご紹介します。
アメリカで6歳男児が飼い犬に襲われて重症
アメリカミシガン州で、オスの飼い犬が6歳の男の子に噛みついて、大ケガを負わせるという事故が起こりました。
2020年4月、トリスティン・レントさんは、急な仕事で呼び出されたため、6歳の息子のカムデン・ボゼル君を親戚に預けて仕事に出掛けました。
トリスティンさんが仕事に出掛けてから、わずか1時間後に警察から
「息子のカムデン君が飼い犬のケイオス(5歳)の襲われたので、すぐに病院に来てください」
と、連絡を受けました。
トリスティンさんは、1時間半かかる同州カラマズーのブロンソン・メソジスト病院へ駆けつけました。
トリスティンさんは、当時の事を
「連絡を受けてパニックになり涙と身震いが止まりませんでしたが、やっとの思いで病院に辿り着く事ができました。
しかし、病院についてもすぐには息子に会わせてもらう事は出来ませんでした。
看護師さんからは、『いい知らせです!息子さんは、自分で呼吸することが出来ていますよ』と言われて、ショックを受けて、最悪のケースを思い浮かべてしまいました」と、話してくれました。
「それから約30分を待合室で過ごしていましたが、やっとほんの少しだけ息子に会うことができました。
息子の顔はガーゼでぐるぐる巻きにされていて、ケガの深刻さを知ったのは手術が終わった後のことでした。」
飼い犬に咬まれた!カムデン君に何が起こったのか?
飼い犬ケイオスはカムデン君に一体なのをしたのでしょうか?
事故が起きた日、カムデン君はいつもよりも少し早起きをしました。
そして、カムデン君がスナック菓子を食べようとした時に事故が起きたのです。
カムデン君が襲われた時、家にいた大人はちょうどバスルームにいました。
ただならぬ叫び声を聞き駆けつけると、ケイオスがカムデン君に襲い掛かっているのを発見し、引き離したそうです。
ケイオスは、カムデン君に噛みつき鼻を骨折させ、更に頭がい骨にヒビが入るほどの大ケガを負わせてしまったのです。
顔の左側や上唇は神経損傷の可能性もあり、顔は何カ所も縫わなければならないほどの傷がありました。
もし、首を噛まれていたら、命を落とす可能性もあったと言います。
幸いにも、目や耳は無事でしたが、手術を担当した医師は『犬に襲われたケースの中でも、最も酷いものの1つです』と語りました。
カムデン君を襲った犬は凶暴と言われるピットブル
カムデン君が生まれた時から一緒に過ごしてきたケイオスは、ピットブルという犬種です。
この事件が起きるまでは、攻撃的なところを見た事はなかったといいます。
しかし、まるで怒り狂ったかのうように、カムデン君を襲ったのです。
ピットブルは、凶暴な犬種として飼うことを禁止されている国があるほどです。
なぜ、カムデン君に襲い掛かったのかは、未だにわかっていません。
カムデン君は3日間入院して、顔の形成手術を受けましたが、3か月経った今でも顔の傷は消えていません。
鼻に至っては、組織を噛みちぎられているため、形成手術が予定されています。
対策 : 闘犬と呼ばれる犬種を飼う場合は…
川島
人とは違う動物だという事を認識して置かなければなりません。
たくさんの犬に関する事故ニュースを拝見しておりますが、
その中で犬の突発的な行動によるモノもたくさん見受けられます。
犬が噛み付く原因
犬が噛み付くという行為に至るまでには必ず原因があります。
- 「生活環境」
- 「犬種の特性」
- 「その子の性格」
- 「そのシチュエーションや犬のコンディション」
などなどあらゆることを想定して、
犬とは向き合う必要があり、
どんな子でもそうなる可能性があることを認識しておかなければなりません。
ピットブルは飼い主ですら手に負えずケガや死亡事故を起している闘犬
また、犬種が「ピットブル」との事で、危険犬種として多く取り上げられ、他人だけではなく、
飼い主ですら手に負えずケガや死亡事故を起している事実があります。
闘犬と呼ばれる犬種を飼う上では、
十分な「知識」「管理体制」は当然のこと、プロによる基礎トレーニングや、
生活上の安全面の見極めなどは必須と言えます。
どの事件や事故に対しても言える事ですが、犬は本能のまま、学習したままに行動を起こします。
犬には一切の悪気はなく、結局全責任を負う(死んで償う)のは犬自身という形になってしまします。
それはとても残酷な事です。
そうならない為に、家庭犬である以上、愛犬の命は人の行動一つで左右されることを理解し、生活やコミュニケーションを図らなければならない事を、もう少し考える必要があるのではないでしょうか。
注意する点:自分の生活環境やスタイルに合った犬種選び
犬を迎える上での注意点は多々ありますが、まずは「犬種」です。
犬種によってしつけは全くと言って良いほど異なります。
ご自身の生活環境やスタイルに合った犬種をチョイスし、
しつけのプロを入れる前提でない限り、
闘犬として作出された犬種や気性の荒めな犬種はオススメしません。
また、大型犬や中型犬は基本的に小型犬に比べ力が強く、
愛情表現(飛びつきや噛み付き)も激しい傾向にあるので、
制御が困難だと少しでも思う場合は、控えるべきと言えるでしょう。
犬を迎え入れる時の大事な注意点2つ
また、愛犬を迎え入れて注目したいのは
- 「物欲・食欲などの執着面について」
- 「臆病・好奇心旺盛などの性格面について」この2点は必ずチェックします。
もちろん成長と共に変化する場合もあるので、
一概に判断はできませんが、
犬種や本能との結びつきで今後の傾向を予測する事も出来るので、
些細な行動・癖なども記録しておくようにしましょう。
愛犬からのシグナルは?:今まで、そういった行為が全くなかった??
記事では…「今まで、そういった行為が全くなかった」という事ですが、
シグナルは必ずあったかと私は考えており、
気が付けなかっただけかと存じます。
私が飼い主の立場だったら、絶対にそのようなシチュエーションに置かないからです。
この仕事をして10年以上が経ちますが、私は、
どれだけしつけが入っていても、どんなに良い子と言われていても、
100%その犬を信用する事は決してありません。
それはたくさんの犬を見てきているのもありますが、
人とは違う動物だという事を忘れていないからだと思います。
心構え:犬は機械ではないので、完璧なんてことはありません。
犬は人を裏切る事は絶対にありませんが、
勘違いは起こします。
その勘違いがエスカレートした状態が、
いわゆる「問題行動」と言われている行動です。
人間もそうですが、勘違いは日常的にあり得る事です。
犬は機械ではないので、完璧なんてことはありません。
時には道に迷ったり、魔が差すことだってあります。
そういった時に、
飼い主が軌道修正(しつけ)をしてあげる必要があるのです。
川島
現在のカムデン君と襲った犬ケイオス
カムデンくんは、顔の傷を気にしていないようですが、スーパーなどで顔をじっと見られる事や、どうしたの?と尋ねられる事を嫌がっているそうです。
ケイオスがなぜカムデン君を襲ったのかは、わかっていません。
ケイオスは、その後警察の指示により安楽死させられたそうです。
この事故はトラウマになっており、トリスティンさんのご家族は、一生このトラウマと闘っていかなければならないでしょうと、語っているとの事です。
最後に
川島
今回の事件は、
「飼い主として愛犬に何が出来るのか」を
考える良いきっかけになったのではないでしょうか。
犬は本能のまま、そして学習したままに行動します。
同様の痛ましい事件が二度と起きないようにするために、
「愛犬の命は飼い主(=人間)の行動に左右される」という事を、心にとめて頂きたいと強く思います。
一人でも多くの愛犬家、飼い主さんへ「犬を飼うこと、命の大切さ、責任を伴う事」の大切さが届けば、
闘犬ピットブルも少しは報われるのではないでしょうか。
ケイオスの冥福をお祈りいたします。
プロフィール
動物系専門学校卒業後警察犬家庭犬訓練所勤務 6年
犬のしつけ WANPO 勤務 4年
2018年4月 HAGU設立
動物取扱業の種別及び登録番号
保管:19東京都訓第006282号
訓練:19東京都訓第006282号
資格:愛玩動物飼養管理士2級