家族の一員である愛犬を亡くした時、飼い主さんは言葉にできないほどの悲しみに襲われるでしょう。すぐには現実を受け入れられないかもしれません。
しかし、悲しみの中にあっても、きちんとお葬式をしてあげましょう。
葬儀を行って供養することで、飼い主さんの気持ちを整理することも出来ます。
そこで、犬の葬儀のやり方やマナーについてご紹介します。
犬が死んでしまったらどうすればいいの?
命あるもの、いつかは死んでしまう事はわかっています。犬を迎え入れた時から、いつかお別れしなければならない事はわかってはいるものの、いざその時が来たら、なかなか受け入れられないものです。
悲しみの中にあっても、犬が死んでしまったらやらなければならない事がいくつかあります。
遺体の安置場所を作る
まずは、遺体を安置する場所を作りましょう。
1.棺を用意する
棺になるものを用意して下さい。木製や段ボール箱など、箱状の物を用意しましょう。段ボール箱の場合には、遺体を入れて移動する際に、底が抜けてしまわないように、強度に注意しましょう。
2.棺の中を整える
棺の中には敷き布団と掛け布団が必要です。バスタオルやタオルを多めに敷きます。遺体から液体が出てくる場合があるので、箱から染み出さないように余裕を持って敷きましょう。
棺の中には、燃える物であれば愛犬が好きだったおもちゃや思い出の品物を入れても問題ありません。
3.遺体を棺の中に入れる
犬が死んでから2~3時間で死後硬直が急速に進行します。手足→腹部→頭部の順番です。
遺体を棺に入れずに放置してしまうと、棺に収まらなくなってしまいます。
死後硬直が始まる前に、前足を後ろ足をたたんで、棺に収めましょう。
もし、間に合わずに死後硬直が始まってしまったら、力任せに曲げたりしないで、一度関節を外側に向けて伸ばしてから、関節を緩くしてゆっくりと折り曲げてあげましょう。
4.遺体にガーゼや脱脂綿を詰める
口や肛門から体液が出るので、ガーゼや脱脂綿を詰めます。
5.保冷剤で冷やす
遺体の腐敗の進行を遅らせるために、保冷剤などを使って遺体を冷やしましょう。
脇やお腹に保冷剤を当てて、タオルなどで固定します。
棺は、直射日光が当たらない涼しい場所に安置するようにしましょう。
犬の死亡届を市区町村に提出する
犬が死んだら、死亡してから30日以内にお住まいの市区町村役所に提出することが、犬の飼い主さんに義務付けられています。
万が一死亡届の提出を忘れてしまったら、犬の登録が残ったままになってしまいます。
その場合、狂犬病予防法第27条に則り20万円以下の、罰金に処せられる場合もありますので、必ず提出して下さい。
役所に死亡届を提出する際は、鑑札と狂犬病予防注射票も一緒に提出して下さい。
忘れてしまった場合には、後日提出すれば問題ありません。
役所の窓口に行けない方は、郵送でも受付してくれる場合もあるので、お住まいの市区町村役場にお問い合わせ下さい。
その他
ペット保険に加入されている方は、保険会社への連絡を忘れずに行って下さい。
犬の葬儀・火葬について
犬や猫などが亡くなったら、葬儀をする方が多くなっています。
ペットの葬儀を行っている葬儀社は沢山あるので、近くの斎場を調べてみましょう。
ペットの葬儀は、ご自宅で行う場合と葬儀社で行う場合のいずれも、お坊さんに来てもらいお経をあげてもらって供養します。
読経後に、飼い主さんとそのご家族がひとりずつお線香をあげます。
愛犬の冥福を祈りましょう。
犬の火葬の種類は4つあります。
立会火葬
犬の葬儀として最も一般的な方法がこの立会火葬です。
立会火葬は、出棺の際のお見送りから納骨までのすべてを、飼い主さんの立ち合いで行います。
火葬後、一度ペットをご自宅に連れて帰ることも可能です。
個別火葬
動物専用の火葬施設で、一匹だけを火葬することが出来るものです。
個別火葬の場合には、飼い主さんが出棺まで見守ることが出来るのが一般的です。
火葬された後、お骨拾いと納骨は葬儀社のスタッフが行うため、個別一任火葬とも呼ばれています。
個別火葬を行うと、他のペットの遺骨と混ざることなく納骨することが出来ます。
納骨後は、個別供養と合同供養から選ぶことができます。
合同火葬
他のペットと一緒に合同で火葬を行うという形式の火葬です。
火葬後は、お骨を一軒ずつ取り分けて納骨を行います。
訪問火葬
訪問火葬とは、文字通り火葬車がご自宅に訪問してペットの火葬を行うものです。
火葬が出来る施設までペットの遺体を運ぶのが困難な方や、一緒に過ごした自宅でペットを見送りたいという方が利用されます。
火葬車は、臭いや煙が出ない仕様になっているので、ご近所の方にご迷惑をお掛けすることはありません。近年、軽自動車の火葬車も登場しています。
葬儀社によっては、24時間365日対応可能な所もあります。
葬儀でのマナーについて
ペットの葬儀に関するマナーはあまり知られていません。どのような点に気を付ければ良いのか、ご紹介します。
1.葬儀に参列する際はどのような服装が好ましい?
ペットの葬儀の場合には、喪服を着る必要はありません。
しかし、お別れの儀式なのでラフすぎる服装は避けて、普段よりも少しきちんとした服装で葬儀に出向くと良いでしょう。黒をベースにした落ち着いた装いがおすすめです。
2.友人や知人のペットの葬儀に参列する場合、香典は用意した方が良い?
友人や知人のペットのお葬式に参列する場合、お香典を用意する必要はありません。
ペットが好きだったおやつを用意したり、お悔やみの気持ちを込めたお花などをお供えすると良いでしょう。
火葬の後のご遺骨の取り扱い方法
葬儀を終えると、ペットの遺骨が残ります。遺骨の取り扱い方法は、大きく分けて3つありますが、飼い主さんの一番良いと思う方法を選ぶことが好ましいでしょう。
1.霊園や寺院などに納骨する
霊園や寺院などに納骨をする場合には、直接ペット霊園に連絡をして手続きをしましょう。
他には、葬儀を葬儀社に依頼して行った場合には、葬儀社によってはペット霊園を紹介してもらえる場合があります。
お墓の管理はご自分でされる方と永代供養する方がいらっしゃいます。
2.自然葬をする
自然葬とは、海洋散骨や樹木葬など色々なものがあります。愛犬にゆかりのあった思い出の場所に散骨される方もいらっしゃいます。
ただし、自然葬に関しては法律や条例などに基づくルールがあるので、全く自由に出来るというわけではありません。
3.手元供養をする
火葬した後、ペットの遺骨を自宅に持ち帰り、仏壇などで供養するという方法です。
ご自宅に安置することで、いつも一緒にいられるという安心感があります。
ペット用に作られたミニ仏壇も人気があります。
卓上サイズで6,000円程度、大きい物でも30,000円程度とリーズナブルです。
分骨して遺骨をアクセサリーにするという方法も人気が高くなっています。
その他
自宅に庭に埋葬することも可能です。
しかし、公園や山、公共の土地や他人の敷地に埋めることは違法になるのでやめましょう。
私有地に埋める場合も、腐敗臭が漏れたり地下水を汚染したりしないように、深く穴を掘って埋めましょう。
小型犬であれば、ご自分で埋葬することも出来るかもしれませんが、大型犬を埋葬するためにはかなり深い穴を掘らなければならないので、かなり難しいとお考え下さい。
ペットの葬儀業者の選び方
まずは、どんな葬儀にしたいかを考えましょう。
愛犬を亡くした悲しみの中で、そんな事まで考えるのは難しいので、元気なうちから考えておくと良いでしょう。
「縁起でもない」と思われるかもしれませんが、これも愛犬を思ってのことです。
また、料金は葬儀社によって異なるので、ある程度予算を決めておくことをおすすめします。
- 自分の希望に合った葬儀ができる
- 予算に合っている
この2つのポイントで葬儀社を選びましょう。
残念ながら、ペット専用葬儀業者の中には、悪徳業者がいます。
合同供養をすると偽って、不法投棄を行うという事例が後を絶ちません。
愛犬の供養を安全に安心して任せることが出来る火葬業者を選ぶために、次の項目に注意して下さい。
- 質問に対しての対応が明確且つ丁寧かどうか
- 会社の所在地や連絡先が明記されているか
- 費用が明確、詳細に表示されているか
- 口コミや評判が悪くないか
- 火葬や納骨の場所がはっきりしているか
可能であれば、見学をしてみることをおすすめします。
見学を希望した際に、快く応じてくれた葬儀社なら、間違いないでしょう。
まとめ
犬の葬儀についてご紹介しました。
愛犬が元気なうちに、お別れをする時の事を考えることは現実的ではないかもしれません。
しかし、悲しみの中での準備は大変です。
きちんと供養してあげるためにも、手続きの方法や葬儀について、是非参考になさって下さい。