複数の犬を飼うことを「多頭飼い」と言います。
既に犬を飼っている飼い主さんの中には、新しく家族を迎え入れようとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
一頭だった犬が二頭になることは、単純に全てのことが倍になるというわけではありません。
多頭飼いを検討している人に伝えたい!三つのことについて、犬のしつけ専門家が解説します。
記事:犬のしつけハグ 川島 恵
Kawashima
多頭飼いの注意点
犬同士の相性を確認する
先住犬と一緒に生活をしている中で、これから新しい犬を迎え入れようと思っている方は、先住犬との相性を確認する必要があります。
仲良く生活ができるのか?また先住犬が多頭飼いに向いているのか?
見極めていただく必要があります。
先住犬が臆病な性格で、お散歩中に他の犬に合った時に腰が引けて近づこうともしないような性格の場合、多頭飼いのハードルは高くなります。
もちろん、生活をしていく中で徐々に慣れて行くとは思います。
特に、まだ1歳前など月齢が低い犬の場合には、これから慣れて行く可能性があります。
しかし、10歳を超えるような成犬の場合には、将来を見据えることも大事です。
先住犬が絶対に受け入れてくれるだろうと思っても、なかなか受け入れられない場合もあるので、飼い主さんの都合で多頭飼いすることはおすすめできません。
先住犬がとても良い子で、「
吠えない」「噛まない」「トイレの失敗をしない」飼い主さんの言うことをよくきく犬であったとします。
しかし、新しく向迎え入れた犬が先住犬のように上手くいくとは限りません。
犬と生活をする上でのルールは、飼い主さん自身で丁寧に教えてあげましょう。
犬のケンカについて
飼い主さんから
「犬のケンカとじゃれ合いの区別がつかないのですが、どうやって見分けるのでしょうか?」という質問をよくいただきます。
月齢が若い犬同士だと、じゃれ合っていることが多いです。
先住犬が老犬で若い犬を迎え入れた場合、先住犬がついていけないことがあります。
犬同士の年齢が離れていると、ケンカにつながる可能性があります。
犬同士で解決させようとすると、年齢が上の犬の方が攻撃を仕掛けて遊びではなくなることがあります。
その場合は、人が必ず仲裁に入って「触れ合わせる時間」「個々の時間」を作っていただくと、うまくいきます。
先住犬がメインになってしまいますが、ストレスがかからないように生活することを考えていただきたいと思います。
無理矢理受け入れさせようとしても難しいので、焦らずに少しずつ時間をかけて犬同士が慣れるようにしてあげましょう。
多頭引きについて
多頭飼いをする方が絶対にやりたい!と思っている「多頭引き」、2頭一緒にお散歩に行くことですが、外に散歩に連れて行く前に、家の中で必ず練習をしてください!
1頭が前を走っていきます、もう1頭は後ろにいます、という状態になってしまうと大変です。
お互いが干渉しあわずに、並んで散歩できるようにトレーニングをするようにしましょう。
まずは、1頭ずつがきちんとお散歩できるようになったら多頭引きをするようにしてください。
多頭飼いの良い点
多頭飼いをして良いこと
は「とにかく可愛いこと」です(笑)。(※川島トレーナーも多頭飼いをしています。)
可愛いということはもちろんなのですが、人としかできない遊びがあるように犬同士でなければできない遊びがあります。
犬同士の相性が良いと、長時間一緒に遊んでくれるのでいい運動になります。
沢山遊んで、一緒にクッションベッドの上で寝てくれたり、性格は違っても似た行動をとるので管理しやすくなります。
飼い主さんが受ける愛情も倍になり、とても癒されます。
犬のしつけハグは、犬のしつけの専門店なので飼い主さんのお宅に伺って、色々とお話を伺うことがあるのですが、子どもに恵まれなかった方や年齢的にこれから子供を設けることができない方など、犬を我が子として考えている方が大勢いらっしゃいます。
犬と人間の距離感が、どんどん近づいています。
犬も賢いので、人を試すような行動をすることもあります。
犬が勘違いをしたり間違えているときには、軌道修正をすれば問題ありません。
犬は純粋なので、文句をいうこともなく育てたままに成長します。
多頭飼いをすると、その分だけ愛情が増えるのは良いところです。
これから多頭飼いをしようと考えている方へのメッセージ
先住犬の性格は飼い主さんがある程度把握していると思いますが、新しく迎え入れる犬の性格も把握しましょう。
新しく迎え入れる犬は子犬であることが多いのですが、先住犬がおとなしい性格の場合、子犬のテンションについていけるのかという点に注意して頂きたいと思います。
子犬の場合、好奇心が旺盛なことが多いので先住犬が圧倒されるケースがよくみられます。
性格が合わないと、先住犬に大きなストレスがかかることになります。
先住犬が臆病な性格の場合、攻撃をしかけたり威嚇をするということもあります。
可能であれば、一週間程度トライアル期間を設けることをおすすめします。
実際に、先住犬がどのような反応を示すのか、観察してみてください。
他にも、穏やかな性格の犬を迎え入れるのも一つの方法です。
迎え入れる子が決まっている場合は、時間をかけて準備をしましょう。
先住犬が新しい犬に何かを教えることは、期待しないでください。
飼い主さん自身の手で、一頭一頭愛情を持ってしつけをしてください。
犬の性別も目を向けてください。
特に、オス同士の場合には本気のケンカに発展することもあるため、注意が必要です。
犬種の相性もあるので、総合的に見る必要があります。
人間同様、犬同士も相性があるので、ケンカになってしまった場合には、人間が仲裁してあげましょう。
良い面だけでないので、労力がかかるという点も把握しておいてください。
先住犬の嫉妬があり、飼い主さんが板挟みになるということもあります。
2頭に平等に愛情を注いであげることが大切です。
- 先住犬との相性をきちんと見ること
- 新しく迎え入れる犬には、しつけをしっかりすること
以上の2点が重要となります。
年齢よりも相性を重視しましょう。
まとめ
多頭飼いを検討している人に伝えたいことについて、解説しました。
多頭飼いをすると、先住犬から悪影響を受けることもあるので注意が必要です。(例えば、先住犬が吠えたら吠える)
多頭引きをする前には、家の中でお散歩の練習をしましょう。
いきなり外に出てしまうと、二頭が別の方向へ進んでしまうなど危険な場合があります。
多頭飼いをすると、単純に可愛さ倍増します。
更に、犬同士で遊べることによって、運動不足の解消になります。
多頭飼いの注意点
先住犬から学ばせるのではなく、飼い主さんがしつける意識を持ってください。
トライアル期間を設けて、事前にお互いの相性を確認すると安心です。
トラブルは犬同士に任せず、人が仲裁して解決しましょう。
多頭飼いは良い面、悪い面、両方ありますが、飼い主さんが平等に愛情を注ぐことによって、倍以上の愛情が返ってきます。
先住犬にストレスがかからないように注意をしながら、徐々に時間をかけて犬同士が慣れるようにしてあげましょう。