犬のお困りごとに関する質問で多いのが「吠え」「噛む」「トイレ」の3つです。
犬が吠えることには理由があるので、まずは理由を突き止めることから始める必要があります。
また、吠えに関してはご近所迷惑にもなるため、早く改善したいですよね。
犬の吠えの対処方法を解説します。
記事監修:犬のしつけハグ 川島 恵
Kawashima
Youtubeに頂いたご相談の内容
7ヶ月のキャバリアの飼い主さん
飼い主が見えない時に鳴き、吠え、夜鳴きがすごくてリビングと寝室で別々で寝られない
犬の鳴き、吠えに関するご質問です。
犬と一緒に生活をしている場合
月齢が7ヶ月なので、迎え入れてから3~4ヵ月経っているのではないかと予測します。
単純な要求吠えなのではないかと思います。
要求吠えの理由は、多くの場合犬が何かに期待をしているということです。
常にリビングで飼い主さんと犬が一緒に生活をしている状態だと、人が居る状態に慣れてしまっています。
ご相談者さんの犬が吠える原因は、犬と人が常に一緒に生活をしていることに原因があるのではないかと思います。
犬が吠える理由
ご相談者さんの愛犬は、飼い主さんと一緒にいられないと吠える傾向にあります。
夜とは限りませんが、人が居なくなってしまうと不安や寂しさから呼んでしまうことはよくあることです。
まだ7ヶ月なので、吠えたら飼い主さんが来てくれるかもしれないと試しているような段階です。
犬が鳴いているから対応してしまうと、鳴けば構ってもらえると思ってしまいます。
犬は飼い主さんと一緒に居たいという気持ちがあります。
飼い主さんと一緒に居たいという気持ちに常に応えることが出来るのであれば、犬が鳴いたら一緒にいてあげることは問題ないと思います。
ただ、必ず犬の要求に応えてあげることは現実問題として難しいと思います。
仕事や外出をすることが出来なくなります。
犬を一人にさせることが出来ないということです。
犬にお留守番をさせなければいけない時もあると思います。
他にも、犬が苦手なお客さんが来た時、犬を部屋の中でフリーにしてしまうことは難しいでしょう。
犬中心の生活をしてしまうと、飼い主さんの方の肩身が狭い状況になりかねません。
犬の吠えが日常化してしまうと、近隣の方から苦情が来てしまう可能性もあります。
犬には、人と生活するためのルールを教えてあげる必要があります。
犬の吠えを改善する方法
常に犬の要求応えてあげれば、犬は吠えなくなるでしょう。
しかし、犬からの要求を全て受け入れることは難しいです。
犬の要求に応えてあげるのではなく、犬が一人で過ごすことが出来るようにしてあげましょう。
犬が一人でお留守番が出来るようにしてあげてください。
お留守番の練習をさせてください。
犬をケージやクレートの中で生活をさせていても、リビングに設置すると人と同じ部屋で生活をすることになるので、お留守番の勉強にはなりません。
人が在宅中にお留守番の勉強をさせたいのであれば、別の部屋にケージやクレートを設置する必要があります。
住宅事情で、別室にケージやクレートを設置することが困難である場合には、ケージやクレートは部屋の隅に設置をしてタオルなどで目隠しをして人の動向が見えないようにしてあげなければなりません。
犬が一人で落ち着いていられる時間を作ってあげてください。
人と一緒に生活をしていても、一緒に遊ぶ時間と一人で大人しくする時間を作ることが大切です。
主導権は人が握るようにしてください。
犬の都合ではなく、飼い主さんが遊ぶ時間や犬が静かにする時間を決めてください。
ケージやクレートの中に入っている時間は、人は構ってくれないということが当たり前になれば、犬は遊んでもらえるという期待をしなくなります。
犬はケージやクレートの中にいる時間は、おとなしく寝るようになります。
ケージやクレートの中で過ごす時はオフの時間、外に出してもらっている時は人に構ってもらったり遊んでもらえるオンの時間というように、使い分けが出来ます。
オンとオフの時間がきちんとあることが、理想的だと言えます。
クレートを利用する
犬が一人で大人しくする時間を作るために、クレートトレーニングをおすすめします。
普段、飼い主さんが外出する時間と同等の時間は、犬がケージやクレートの中で静かに過ごせるようにトレーニングをすると良いでしょう。
犬をケージの中で管理している飼い主さんが多いと思います。
クレートをご存知でしょうか?
クレートとは、キャリーケースのようなもので主にプラスチック製の物が多い入れ物です。
はじめてクレートを見た方の多くは、「こんなに小さいケースの中に入れてしまうなんで可哀そう」と思われます。
クレートは、犬を閉じ込めておくお仕置き部屋のような物ではありません。
犬が自ら入り、おとなしくしていられる落ち着ける空間です。
犬の大きさに合ったサイズのものを選んで頂くので、窮屈な場所ではありません。
トレーニングの段階では、人が「ハウス」と指示語を出して入るのですが、慣れると自ら進んで入っていく場所になっていきます。
人から指示されなくても入っていくので、犬にとって居心地の良い好きな場所と言えます。
犬を飼っている人はおわかり頂けると思いますが、犬は狭い場所が好きなケースが多いです。
イスの下やテーブルの下の狭い場所がお気に入りという犬が沢山います。
クレートのように、人が用意して「ハウス」として提供した場所であれば、自らを守る場所のような変な意識を持たなくなります。
ケージやクレートの中は、犬が普段から入り慣れている場所であり、入ることに抵抗のない場所である必要があります。
そのためには、普段からのトレーニングが大切になってきます。
時間がある時に、ケージやクレートに中に対するイメージを良くしていただきたいと思います。
ケージやクレートの設置場所
ケージやクレートを設置する場所を、考えて下さい。
リビングの真ん中など人が通る場所に設置してしまうと、人の動きがあると構ってもらえるのではないかと期待をしてしまいます。
吠えるなどの行動でアピールしてきます。
犬が人に構ってもらいたくて行った行動に反応してしまうだけでもよくありません。
吠えたことによって見るだけでも、犬から見ると要求が通ったことになります。
犬からの要求は一切通したくありません。
犬の行動に対して反応することがないように、どうしても同じ部屋にケージやクレートを設置しなければならない場合には、タオルなどで目隠しをしてください。
ケージやクレートはリビング以外の場所に設置していただくことが理想的です。
犬に変な期待を持たせないことが大切です。
ご相談者さんの犬はまだ7ヶ月と月齢が若いので、しっかりと睡眠欲があるはずです。
ご飯を食べた後、運動をした後は、すぐに寝てくれます。
タイミングを合わせてケージやクレートの中に導いてあげると、落ち着きやすいでしょう。
犬が興奮している状態の時にケージやクレートの中に入れても、文句が出やすくなってしまいます。
人が犬の様子をしっかりと見て、ケージやクレートの中に入れてあげると、嫌なイメージはつきません。
クレートトレーニングにおすすめの時期
トレーニングのタイミングとしては、子犬の時期が適しています。
ご存知の方も多いと思いますが、子犬期の方が柔軟なのでトレーニングが入りやすいのです。
子犬のうちは経験も浅く、素直に聞いてくれます。
成犬になると今までの経験もあるため、軌道修正をしなければならない部分も出てきます。
経験の浅い子犬の時期は新しく覚えることが多いため、定着させて強化するというやり方が通用するのです。
子犬の時期は睡眠欲も強いため、ケージやクレートの中に入れるとすぐに寝てくれることが多いです。
成犬は子犬と比較すると睡眠時間が短いため、ケージやクレートの中にいてもすぐに寝てくれるとは限りません。
起きている時間が長いと、要求が出る可能性が高くなります。
上記のような理由から、ケージやクレートのトレーニングも子犬期の方が入りやすいのです。
但し、成犬になるとトレーニングが出来ないということではありませんので、勘違いのないようにお願いいたします。
犬とトレーニングはやり方次第です。
成犬でもトレーニングは入るので、ご安心ください。
トレーニングは犬にとって、ノーストレスというわけではありません。
人から犬に対して「噛んではいけない」「トイレの場所はここ」などのことを教えて、犬は覚えなければなりません。
またトレーニング施設に行くなど、犬にとって環境が変わるなんどもあるのでストレスがかかります。
10歳を超えてくると、トレーニングや環境の変化によるストレスから、フードの食いつきが悪くなり体調が心配になってきます。
犬の体調を考えると、ある程度老犬になってしまうとトレーニングが難しくなります。
犬のことを考えると、子犬期にトレーニングを済ませることが最善です。
犬のしつけハグでお預かりした犬の最年長が12歳です。
ドッグトレーナーの立場でも、体調面に気を付けながらトレーニングを行うことはもちろんですが、無理のないように行わなければならなくなります。
お困りごとがあったら、直ちにトレーニングを行うことをおすすめします。
まとめ
要求鳴きに関するご質問を頂きました。
まずは、現在管理しているケージやクレートの中に対するイメージを良くして下さい。
「ハウス」の指示語で自分から入れるようにしましょう。
ケージやクレートの中で過ごすことが当たり前だという認識を付けて下さい。
ケージやクレートは、寝る時やお留守番の時だけ入る場所ではなく、普段からおとなしく過ごす場所としての位置づけをしておきましょう。
ケージやクレートの設置場所は、人から見やすい場所ではなく、可能であれば別の部屋が理想的です。
見える場所に設置すると、犬からの要求が出やすくなってしまいます。
普段から、自立を養わせるようなトレーニングを行い、叱るのではなく環境を整えてあげると問題はなくなります。