「2匹目を迎えたら先住犬が寂しそう…」「多頭飼いを始めてから問題行動が増えた」そんな悩みはありませんか?
新しい家族が増えるのは喜ばしいことですが、
実は先住犬の生活環境が脅かされるリスクも。
本記事ではプロドックトレーナーが、多頭飼いの注意点と、
お家でのフリー時間の考え方について詳しく解説します。
記事監修:犬のしつけハグ 川島 恵
Kawashima
多頭飼いを始める前に知っておくべき「覚悟」と「現実」

ワンちゃんを1頭で飼うのと、2頭、3頭と増やしていくのとでは、飼い主さんにかかる負担は全く異なります。
2頭目、3頭目と増えるにつれ、その労力は単純な足し算ではなく、2倍、3倍、ときには10倍にも感じられることがあるのが現実です。

まず考えなければならないのは、ワンちゃんの寿命です。
小型犬であれば15年以上、大型犬でも10年前後は共に過ごすことになります。
自分たちの年齢や体力から逆算して、最後まで責任を持って見切れるのかを冷静に判断しましょう。
「今は元気だから大丈夫」と思っていても、人間は必ず年齢とともに体力が衰えていきます。
万が一、自分たちが動けなくなったときや、先に旅立ってしまったときに、その子を引き継いでくれる場所があるかまで含めて準備しておくことが、真の愛情です。
先住犬の生活が「脅かされる」リスクを理解する

多頭飼いを検討する際、多くの飼い主さんが「先住犬が寂しそうだから」「遊び相手がいた方がいいから」という理由を挙げます。
しかし、プロの視点から見ると、これは正解でもあり、大きな間違いでもあります。
今まで100%の愛情を一身に受けていた先住犬にとって、新しい家族の登場は必ずしも喜ばしいことばかりではありません。
特に、手のかかる子犬を迎え入れた場合、飼い主さんの意識はどうしても新しい子に向きがちです。

すると、今まで安定した生活を送っていた先住犬は、急に自分の居場所や愛情が奪われたような感覚に陥ってしまいます。
これが原因で、以下のような問題行動が突如として現れることがあります。
- 今までできていたトイレを失敗する(粗相)
- 家具を噛むなどのいたずらが増える
- 急に無駄吠えをするようになる
- 今まで以上に甘える、あるいは逆に距離を置くようになる
これらは「わがまま」ではなく、先住犬の「心の乱れ」のサインです。
今までの生活環境が変わらないまま新しい子を迎えられる、という考えは捨てた方が良いでしょう。
性格の「温度差」が多頭飼いの成否を分ける

多頭飼いにおいて最も重要なのが、先住犬と新しく迎える犬との「相性」と「温度差」です。
ここを見誤ると、家庭内が常に緊張状態になってしまう恐れがあります。
先住犬が落ち着いている場合
先住犬がシニア期に入っていたり、穏やかな性格だったりする場合、そこにハイテンションな子犬がやってくると大変です。
子犬のしつこい遊びの誘いや動き回る音は、落ち着いて過ごしたい先住犬にとって大きなストレスとなります。
ひどい場合には、ストレスからくる体調不良や、激しい喧嘩に発展することもあります。

似た気質のパートナーを選ぶ大切さ
相性を考える上で一つの基準になるのが、エネルギーレベルの近さです。
大人しい子には大人しいパートナーを。活発な子にはそれについていける子を。

もちろん、実際に一緒に過ごしてみないと分からない部分はありますが、保護犬などを迎える際などは、事前に性格をしっかり把握し、先住犬の生活ペースを乱しすぎない子を選ぶことが、失敗しないためのポイントです。
【自由は大事なのか?】お家でのフリー中の注意点

さて、本題の「お家でのフリー(放し飼い)状態」についてです。
多頭飼いにおいて、2頭を常にフリーにしておくことは、プロの目から見ると非常に注意が必要です。
「自由」がストレスになることもある
犬にとって家の中で自由に動き回れることは幸せに見えますが、多頭飼いの場合、それが「お互いから逃げ場がない状態」を生んでしまうことがあります。
特に相性が完全に構築されていない時期や、性格に温度差がある場合、常に相手の存在を意識しなければならないフリー状態は、犬を精神的に疲弊させます。
ケージやサークルを活用した「個」の時間の確保

プロドッグトレーナーが推奨するのは、あえて「自由を制限する時間」を作ることです。
それぞれのケージやサークルを用意し、お互いの視界に入らない場所でゆっくり休める時間を強制的に作ってあげましょう。
これが、多頭飼いを円滑に進めるための最大のコツです。
フリーにすることは、お互いの信頼関係が築かれ、適切な距離感が保てるようになってからでも遅くありません。
多頭飼いを成功させるための具体的なステップ

失敗しない多頭飼いのために、以下のステップを意識してみてください。
- 先住犬のしつけを完成させておく: 先住犬が飼い主さんの指示を聞ける状態であれば、新しい子が来てもコントロールしやすくなります。
- 先住犬を「絶対優先」にする: ご飯をあげる、散歩に行く、声をかけるといった全ての順番を先住犬からにしましょう。これにより、先住犬の自尊心が保たれます。
- プロのカウンセリングを受ける: 自分たちだけで判断せず、専門家に先住犬の性格を診断してもらい、どのようなタイプの子が合うかアドバイスをもらうのも有効です。

多頭飼いは、うまくいくとワンちゃん同士の絆が見られたり、生活がより豊かになったりと素晴らしい面もたくさんあります。
しかし、その裏には飼い主さんの深い理解と、先住犬への細やかな配慮が欠かせません。
「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、まずは先住犬の今の心の状態をじっくり観察することから始めてみてください。
もし、多頭飼いを始めてから問題が起きている、あるいはこれから迎えるのが不安だという方は、お一人で悩まずにぜひご相談ください。
それぞれの家庭に合ったベストな解決策を一緒に探していきましょう。
犬のしつけ ハグ



