おやつもおもちゃも使わない犬のしつけ

【SOS】実は限界かも?犬がストレスを感じている時の行動

愛犬が家の中で自由に過ごす「フリー」の状態。
一見、ストレスがなさそうに見えますが、実は愛犬が「SOS」を出していることも。
プロのドッグトレーナーが、犬がストレスを感じている時の意外な行動や、
お家でのフリー生活で注意すべきポイントを詳しく解説します。
愛犬の心の健康を守るためのヒントが満載です。

記事監修:犬のしつけハグ 川島 恵

Kawashima

Profile 川島 恵 ドックトレーナーとして12年目の令和元年に東京の世田谷区と文京区にあるドッグトレーニング犬のしつけ教室をオープン。 『スッキリ』(日本テレビ系)犬のしつけ専門家として出演電話出演。 テレビ東京「どうぶつピース!!」に出演。「おやつ、おもちゃ無しのしつけ」でドッグトレーニングする犬のしつけの専門家

https://youtu.be/1KXidk2aKfI​​

犬がストレスを感じている時の代表的な「3つのサイン」


犬は言葉を話せませんが、体全体を使って自分の感情を表現しています。

飼い主さんが「リラックスしている」と思っている時でも、実は犬自身が自分の気持ちを落ち着かせようと必死にサインを出している場合があるのです。

まずは、ドッグトレーナーが現場で必ずチェックする、犬がストレスを感じている時に出す代表的な3つの「カーミングシグナル(自分や相手を落ち着かせるための信号)」をご紹介します。

これらは日常の何気ない瞬間に隠れているため、見落とさないことが大切です。

誤解・見逃しがちな犬の行動や病気の5つのサインとは?

1. 生理現象ではない「あくび」

人間も眠い時や退屈な時にあくびをしますが、犬にとってのあくびは、眠気だけでなく「強いストレス」や「困惑」を表す非常に重要なサインです。

例えば、しつけのトレーニング中にやりたくないことを指示された時や、飼い主さんに少し厳しい口調で叱られている時、あるいは不慣れな場所に連れて行かれた時などに「ふわぁ」と大きなあくびをすることがあります。

これは、自分自身の高ぶった感情や不安な気持ちを鎮めようとする葛藤の現れです。

また、相手に対して「そんなに怒らないで」「ボクは敵じゃないから落ち着いて」という平和的なメッセージを送っていることもあります。

もし、愛犬が叱られている最中にあくびをしたとしても、それは「馬鹿にしている」のではなく、「もう限界だよ、落ち着いて」というSOSだと受け止めてあげてください。

2. 葛藤の現れ「体を掻く動作」

「お座り」や「待て」の指示を出した瞬間に、急に後ろ足で首のあたりや体をポリポリと掻き始めることはありませんか?

ノミやダニ、皮膚疾患などの物理的な痒みがないにもかかわらず、特定の状況で突発的に体を掻くのは、犬が「めんどくさいな」「今はやりたくないな」「どうすればいいか分からない」と感じている時に多く見られる行動です。

これは心理学的な用語で「転位行動」とも呼ばれ、ストレスを感じた時に出る一種の逃避行動です。

やりたいこと(自由でいたい)とやらなければならないこと(指示に従う)の板挟みになった心のモヤモヤを、体を掻くという別の動作に置き換えることで紛らわそうとしているのです。

3. 集中をリセットする「身震い(ブルブル)」

体が濡れているわけでもないのに、耳や全身を「ブルブルッ!」と激しく振る動作も、ストレスと密接に関係しています。

この動作は、緊張した状態から解放された時や、嫌なことがあった後、そのストレスを物理的に振り払って「リセット」しようとする時に行われます。

お散歩中に苦手な犬や車と遭遇して緊張が走った後や、激しいトレーニングが終わった直後によく見られます。

プロのドッグトレーナーの視点では、トレーニング中にこの身震い(ブルブル)をされると、その瞬間に犬の集中力がプツンと切れてしまうことも多いため、状況によってはこの行動をあえて阻止し、集中を持続させる工夫をすることもあります。

しかし、基本的には犬にとっての「気分転換」の手段であることを理解しておきましょう。

ストレスが体に及ぼす影響と、環境の変化によるリスク


ストレスは精神的な変化だけでなく、犬の肉体にも顕著な悪影響を及ぼします。

特に、生活環境がガラリと変わる場面では、目に見える形での体調不良が起こりやすくなります。

精神的な負担が引き起こす「下痢」

ドッグホテルやしつけ教室での預かりトレーニングにおいて、最も頻繁に発生するトラブルが「下痢」です。

住み慣れた家を離れ、大好きな飼い主さんと離別し、知らない場所、知らない匂い、知らない人間や犬に囲まれることは、犬にとって想像を絶する恐怖とストレスになります。

精神的にデリケートなタイプの子は、この環境の変化だけで一気にお腹を壊してしまいます。

単に便が柔らかくなる程度の子もいれば、水のような下痢、さらには腸壁が傷ついて血が混じる「血便」が出てしまう子もいます。

これらは感染症などではなく、純粋に「精神的ストレス」が自律神経を乱した結果と言えるでしょう。

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不安からくる「食欲不振」と「排泄の抑制」

人間も極度の緊張状態では喉を通らなくなりますが、犬も全く同じです。

新しい環境や強いストレス下では、普段は大好物のはずのフードすら口にしなくなることがあります。

これは「食べる」という余裕がないほど心が追い詰められているサインです。

また、排泄の回数が極端に減ることも珍しくありません。

野生の動物にとって、排泄中は無防備になり、敵に襲われるリスクが最も高い瞬間です。

そのため、強い緊張状態にある犬は、その場所が「100%安全である」と確信できない限り、排泄を極限まで我慢してしまうのです。

人前でトイレをすること自体を避けるようになるケースもあり、これらは犬が自分自身でコントロールできない生理的な反応です。

【プロが教える】ストレスと上手に付き合うための考え方


「愛犬に一切のストレスを与えたくない」と考えるのは、飼い主として当然の愛情です。

しかし、プロドッグトレーナーの視点では、「ストレスゼロ」を目指すことが必ずしも愛犬の幸せに直結するとは考えていません。

ストレスフリーな生活は「ほぼ不可能」

人間社会で共に生きていく以上、完全にストレスを排除することは不可能です。

お散歩中のバイクの音、突然の雷、来客のチャイム、動物病院での診察など、避けては通れない刺激は山ほどあります。

全く刺激のない「箱入り」の状態で育ててしまうと、いざ何かがあった時に受けるストレスの反動が大きくなりすぎてしまいます。

大切なのは「ストレスをすべてなくすこと」ではなく、「どのストレスに慣れさせ、どうやってストレスを克服する力をつけるか」という視点を持つことです。

今、トレーニングで多少の負荷がかかったとしても、それを乗り越えて「大丈夫だった」という自信をつけさせることは、将来の愛犬の生活をより豊かで自由なものにするための投資なのです。

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将来の「もしも」に備えたトレーニング

人生(犬生)には、予期せぬ事態が必ず起こります。

災害による避難、飼い主さんの急な入院、法事での預かりなど、愛犬を誰かに託さなければならない日は突然やってきます。

老犬になって、体力も免疫力も落ちた状態で初めて知らない場所に預けられるのは、命に関わるほどのストレスになりかねません。

だからこそ、若くて元気なうちから以下のような「ストレス耐性」をつける練習をしておくべきです。

  • 近所のペットホテルに短時間だけ預けてみる
  • 家族以外の人からおやつをもらったり、触れ合ったりする機会を作る
  • クレート(ハウス)の中で落ち着いて過ごす練習をする
  • ドッグランなどで他の犬の存在に慣れておく

このように、あらかじめ「飼い主と離れても安全である」「知らない場所でも眠れる」という経験を積んでおくことが、結果として愛犬を一生涯守るための最大のケアになります。

お家でのフリー生活とストレスの意外な関係


さて、多くの飼い主さんが良かれと思って行っている「お家でのフリー生活」についても、注意すべき点があります。

「ずっと自由に歩き回れるのが一番幸せ」という考え方は、実は人間側の視点かもしれません。

フリー=「常に警備をしている状態」の可能性


家の中で24時間フリーで過ごしている犬の中には、家全体の「守り(警備)」を自分一人で担っていると勘違いしてしまう子がいます。

窓の外を通る人の気配、郵便配達のバイクの音、隣の家の生活音。フリーでいるということは、それらすべての刺激に対して「自分が反応して追い払わなければならない」という重責を背負わせてしまっているケースがあるのです。

犬が安心できる場所クレート!クレートトレーニングの方法とは?

四六時中、周囲を警戒して走り回ったり吠えたりしているのは、リラックスしているのではなく、常に気を張ってストレスを感じている状態です。

このような子には、逆に「クレート(ハウス)」という、誰にも邪魔されない狭くて暗い安心できる場所を与えてあげることが、心の安らぎに繋がります。

「今はここで寝ていれば安全だよ」というメッセージを伝えてあげることで、ようやく犬は警備員の任務から解放され、本当の意味で熟睡できるようになります。

「自由」と「しつけ」のバランスが幸せを作る

犬にとっての本当の幸せは、何でも思い通りにできることではなく、「どうすれば褒められるか」「今は何をすればいいか」という明確な指針があることです。

ルールがある中での自由こそが、犬に安心感を与えます。

「お家でフリー」にする場合も、ただ放任するのではなく、飼い主さんの指示で落ち着ける場所(マットやハウス)がある状態を目指しましょう。

もし、愛犬が家の中で今回紹介したようなストレスサイン(あくび、体を掻く、ブルブルする)を頻繁に出していたり、少しの音で過剰に反応したりしている場合は、現在の「フリー」の環境が、その子にとって負担になりすぎていないか見直してみるタイミングかもしれません。

まとめ:愛犬のSOSを見逃さないために


犬は言葉で「疲れた」「不安だ」とは言えませんが、その行動の端々に必ずメッセージを隠しています。

今回ご紹介した「あくび」「体を掻く」「身震い」といった些細なサインに気づけるようになるだけで、愛犬との絆はより深いものになります。
もし、愛犬がストレスを感じやすく、お家での過ごし方や外での振る舞いにお悩みがある場合は、一人で抱え込まずにプロの意見を取り入れてみてください。

犬の性格は一頭一頭異なります。その子の個性に合わせた「ストレスとの付き合い方」を見つけ、少しずつ自信を持たせてあげることで、愛犬の表情は驚くほど穏やかになります。

愛犬が出している小さなSOSに耳を傾け、心身ともに健やかな毎日を送れるようサポートしてあげましょう。

しつけは愛犬を縛るものではなく、愛犬をより自由で幸せにするためのプレゼントなのです。

【保存版】子犬との暮らしで“絶対に”してはいけないこと|知らないと後悔します。

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愛犬の性格に合わせた最適なアドバイスをさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

愛犬との暮らしがより素晴らしいものになりますように!