何の理由もなく犬が吠えることはありません。必ず何らかの原因があって吠えています。それが分かると適切なしつけ・対応がしやすくなりますよ。
いわゆる「吠えグセ」をきちんと治す・クセをつけないようにするのは案外大変ですが、犬の気持ちを考えながら根気よく取り組んでいけば結果が出る可能性が高いです。
記事監修:川島 恵
Kawashima
犬が吠える理由を把握してしつけに活かしましょう
犬は自分の気持ちを表すために吠えますし、
もっと言えば「本能」によっても吠えています。
そこで、まずは犬が吠える主な理由と、その対応・しつけ方法を紹介します。
理由1:要求吠え
何か食べたいときや散歩したいタイミングなどで、犬が吠える場合は「要求吠え」の可能性があります。
そこでエサや散歩の用意に取り掛かってしまうと、今度は急かす意味で吠えます。
そして、「吠えると要求が叶う、早く要求が叶う」と学習して、吠えグセがさらに酷くなる恐れがあります。
要求吠えのしつけ方法
吠え始めたら、一切無視します。
たとえ「本来のエサ・散歩の時間」だったとしても、吠えなくなるまで全てお預けにします。
そして、完全に吠えるのをやめたら、エサを与えたり、散歩に連れていったりしましょう。
そうすることで、「吠えると悪いことがある、吠えなければ嬉しいことがある」と学習します。
それから、食事の順番を絶対に「飼い主(と家族)→犬」にします。
犬などの動物には「偉い者が先に食べる」という習性があるからです。
「犬に先に食べさせたほうが、安心して人間が食事できる」かもしれませんが、生活リズム調整するなどして対応しましょう。
理由2:威嚇吠え
基本的に散歩中の事になるはずですが、飼い主以外の人間や別の犬を見かけると、威嚇するために吠える可能性があります。「近づくな!」と伝えたいわけですね。
子犬のときに「社会化」ができていないと、こういった状態になりやすいです。
酷いときには噛みつく恐れもあるので、早めにしつけなければなりません。
威嚇吠えのしつけ方法
まずは警戒心のレベルを下げましょう。
子犬のうちから、自分以外の動物や飼い主以外の人間と触れる機会を増やすと、「社会性」が身に付きやすいです。
ですが、成犬の場合はすでに「自我」があるので、単に他の人間や動物に触れされるだけではうまくいかない可能性もあります。
そういったときは、まず飼い主がリラックスするように犬に指示を出します。
一例としては、「第三者が近寄ってきたら→犬の名前を呼び→待て・座れなどと言って、飼い主に集中させる」という方法があります。
気を逸らしているうちに相手が離れていったら、思いきり褒めましょう。
このとき、すぐに褒めないと「第三者がいても吠えなかったら褒められた」と理解してくれない可能性があるので気を付けてください。
理由3:おびえ吠え
来客や物音を理由に吠える犬もいます。
おびえ吠えのしつけ方法
物音で吠える場合は、音がしたら待て・座れなどと言って落ち着かせます。
吠えなければすぐに思いきり褒めます。
来客で吠えるのであれば、犬も連れてお客さんを最寄り駅などに迎えにいきましょう。
そして、犬と一緒に家に帰ると、その頃には犬にとって「見知らぬ人」ではなくなっているので、吠えない可能性が高いです。
「根本的な解決にならない」と感じるかもしれませんが、まずは「来客で吠えるクセをなくす」ことが大事です。
しばらくしたら、物音で吠える場合と同じく、「落ち着かせる→吠えなければ褒める」という方法を採ってみましょう。
その際、お客さんにも褒めてもらうと、警戒心を抱きにくくなります。
理由4:はしゃぎ吠え
好奇心の強い犬の場合は、来客のときに嬉しくなって吠える可能性があります。
そうでなくても、飼い主が家に帰ってくるとテンションが上がって吠える犬が少なくありません。飼い主に「寂しかったよ~!」と伝える意味もあると言われています。
はしゃぎ吠えのしつけ方法
「愛犬の可愛いはしゃぎ姿」ですが、ぐっと我慢して犬が吠えなくなるまで一切無視します。
吠えることをやめたら、思いきり褒めてあげましょう。
そうすることで、「飼い主が帰ってきても、吠えないほうがすぐに構ってもらえる」と学習します。
「犬が吠える理由を知っている飼い主」が絶対にしないNG行動とは?
色々と紹介してきましたが、共通して言えるのは
「犬が吠えているときに、犬にとってメリットとなることをしてはならない」という事ですね。
- 要求を叶える
- 第三者に対して吠えるときに、過剰に優しくして守ろうとする
- 飼い主の帰宅時、はしゃいだ状態の犬を撫でる
などは全て「犬にとって嬉しいこと」であり、こういった事を続けていると「とにかく吠えてなんとかしてもらおう!」と考えるようになります。
ですから、とにかく吠え始めたら「一切無視」が基本です。
そして吠えなくなったら、即座に褒めます。
犬にとって、飼い主に無視される事は非常に辛いことですから、比較的早く「吠えるとロクなことにならない」と学習するはずです。
犬が吠える理由が「病気」「体調不良」の場合もあります
- 普段に比べて吠え方が明らかにおかしい
- 長時間無視しても吠えるのを全くやめない
などといった場合は、病気や体調不良を理由に吠えている可能性があります。
その際は動物病院に行くことも検討してください。
大事なことは「無視しつつ、犬の事を気にし続ける」という事ですね。
「一旦存在を忘れましょう」ということではありません。
まとめ
「愛犬が吠えているけれど、今はどんなシチュエーションなのか」を冷静に考えると、犬が吠える理由が分かりやすくなります。理由が分かったら、無視するなど適切に対応しましょう。ただし、病気や体調不良で吠えている可能性もゼロではないので、「無視はするけれど、気に留め続ける」ということも徹底してくださいね。