子犬を家に迎え入れて最初の一週間。愛くるしい姿に癒やされる反面、多くの飼い主さんが最初にぶつかる大きな壁があります。
それが「噛み癖」です。
「遊んでいる最中に急にガブッと噛んできた」「手や足が傷だらけ……。
これって攻撃的な性格なの?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
実は、子犬が噛む行動の背景には、人間が想像するのとは全く異なる「犬なりの心理」が隠されています。
今回は、YouTubeチャンネル『犬のしつけハグ』の川島先生の解説を基に、子犬の噛み癖の原因と、愛犬との信頼関係を壊さずに解決するための具体的な方法を詳しくご紹介します。
記事監修:犬のしつけハグ 川島 恵
Kawashima
1. なぜ子犬は噛むのか?その意外な心理

まず理解しておきたいのは、子犬にとって「噛む」ことは、必ずしも悪いことではないということです。
愛情表現と遊びの延長
子犬にとって、噛むことは「じゃれ合い」や「遊び」の重要な手段です。
犬同士で遊ぶ時も、お互いの耳や首元を噛み合いながらコミュニケーションを学びます。
人間に対しても同様で、大好きな飼い主さんを噛むのは、彼らなりの「愛情表現」であったり、「一緒に遊ぼうよ!」というお誘いだったりすることが非常に多いのです。
人間のリアクションが報酬に
子犬が噛んだ時、人間が「痛い!」「やめて!」と大きな声を出したり、手をバタバタさせたりしていませんか?
実はこれ、子犬にとっては「飼い主さんが面白い反応をしてくれた!」「もっと楽しくなってきた!」という誤解を招く原因になります。
人間の言葉や大きな動きが、結果として噛む行動を強化する「ご褒美」になってしまっているケースがあるのです。
2. 噛む欲求を「解消する場所」を作ってあげる

子犬には、生物学的に「何かを噛みたい」という強い欲求があります。
これを無理やり力ずくで抑え込もうとするのは、逆効果です。
歯の生え変わり時期のムズムズ
生後3ヶ月から半年頃までは、乳歯から永久歯への生え変わり時期にあたります。
この時期は歯茎が痒く、何かを噛んでいないと落ち着かない状態です。
人間の子どもが歯がためを使うのと同じように、子犬にも噛むための「適切な道具」が必要です。
解決策:噛んで良いおもちゃを与える
家中のものや人間の手を噛ませないためには、まず「これは噛んで良いよ」という専用のおもちゃを与え、噛みたい欲求をそこで満たしてあげることが大切です。
ただし、おもちゃで遊ぶ時も興奮させすぎには注意が必要です。
あまりにテンションが上がりすぎると、その勢いでそのまま飼い主さんの手を噛む習慣がついてしまうからです。
遊びは「ほどほど」を心がけ、落ち着いた状態で遊ばせる工夫をしましょう。
3. 「社会化」を通じて噛む加減を学ばせる

犬は本来、親犬や兄弟犬との遊びを通じて「これ以上噛んだら相手が痛がる」という力加減(噛み抑制)を学びます。
しかし、早くに親元を離れた子犬は、この学習が不十分なまま家に来ることがあります。
犬同士のコミュニケーションの効果
一番効果的なのは、ワクチンプログラムが完了した後に、他の犬たちと触れ合わせることです。
ドッグトレーナーが運営する日中預かり施設や、しつけ教室のパピーパーティーなどを利用して、犬同士でじゃれ合う時間を作りましょう。
犬同士で噛み・噛まれを経験することで、「ここまで噛むと相手が怒る」「遊びが中断してしまう」というルールを自然に習得していきます。
これが、人間に対する噛み癖の軽減にも大きく貢献します。
4. 信頼関係を壊さない「注意の流し方」

「ダメ!」「コラ!」と感情的に叱るのは、しつけにおいて最も避けたい方法です。
愛情を拒絶しない伝え方
子犬にとって、噛むことが愛情表現である場合、それを強く叱ることは「あなたの愛情はいりません」と拒絶しているように伝わってしまう可能性があります。
「噛んではいけない」と教える際は、あくまで「人の手は噛んではいけないルールである」ことを淡々と伝える必要があります。
具体的な対処ステップ
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遊びを中断する: 手を噛んできたら、即座に遊びを止め、目も合わせず、その場を離れます。「噛んだら大好きな遊びが終わる」というネガティブな結果を学習させます。
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おもちゃへ誘導する: 手を噛もうとした瞬間に、おもちゃを差し出して「こっちを噛んでね」と誘導します。おもちゃを噛めたら褒めてあげましょう。
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冷静な声かけ: 反射的に声が出てしまうのは仕方ありませんが、できるだけ低いトーンで「ダメ」や「ノー」と短く伝え、その後の過剰なリアクションは控えましょう。
5. 「本気の噛み」へ移行させないために

子犬の時期の甘噛みを放置すると、将来的に「人を噛むことへの抵抗感」が低い犬に育ってしまうリスクがあります。
相手を試す噛み方に注意
成長するにつれて、純粋な遊びではなく「これをすれば嫌なことをやめてくれるかな?」「この人を試してみよう」という意図が含まれた噛み方が現れることがあります。
もし、遊びの延長を超えて、明らかに人をコントロールしようとする噛み癖が見られる場合は、より専門的なしつけのアプローチが必要になります。
プロに相談するタイミング
自分の手や足が傷だらけで日常生活に支障が出ている、あるいは家族が愛犬を怖がるようになってしまった場合は、迷わずドッグトレーナーに相談してください。
動画の中でも川島先生が仰っているように、犬の性格や家庭環境によって、最適な対応策は一人ひとり異なります。
プロに直接見てもらうことで、愛犬を怯えさせることなく、スマートに噛み癖を改善するヒントが見つかるはずです。
まとめ:根気と理解が改善の鍵

子犬の噛み癖は、多くの場合、成長の過程で自然に落ち着くこともありますが、そこに「期待」しすぎず、今のうちから正しい習慣を伝えていくことが重要です。
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噛むのは愛情や遊びのサインであることを理解する。
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噛む欲求は専用のおもちゃで解消させる。
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犬同士の交流で、噛む加減を学ばせる。
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叱るのではなく「遊びを中断する」ことでルールを伝える。
愛犬は噛みたくて噛んでいるのではなく、どうコミュニケーションを取ればいいか模索している最中なのです。
焦らず、一歩ずつ信頼関係を築きながら、理想のパートナーシップを目指していきましょう。
犬のしつけ ハグ



