「犬のしつけに暴力を使うこと」に対して、「日本獣医動物行動研究会」がハッキリと反対声明を出しています。
今回は主にその内容を紹介していきます。そして、声明を出すに至った経緯もお伝えします。
また、「暴力を振るってしまう前にすべきこと」も挙げていきますので、ぜひ最後までお読みください。
「日本獣医動物行動研究会」の声明の内容は?
日本獣医動物行動研究会は、
「体罰(暴力)で犬しつけをすることに関して、反対します」
という声明を出しています。
「暴力でのしつけ」には、こんなデメリットがあるとのことです。
1:犬を死に至らせる恐れがある
「そんな大げさな……」と感じるかもしれませんが、人間の力で犬に暴力を振るったらどうなるか分かりませんよね。また、死に至らせる事はなくても、ケガをさせるかもしれません。
2:ヒトへの警戒心が強くなる
暴力によってヒトを怖がるようになる恐れがあります。
「その犬の元の性格」がどんなものであっても、そのリスクがあります。
3:先制攻撃の恐れ
「暴力を振るってくるのだから、その前に飼い主を攻撃しよう」という発想ですね。
飼い主だけならまだしも、例えば「家に入ってきたお客さん」にも同じことをするかもしれません。
4:攻撃行動のエスカレート
言ってみれば「やられる前にやってやる」の精神が根づいてしまうわけです。
日常的に暴力を受けているわけですし、こうなるのも仕方ありません。
5:「犬の問題行動」の悪化
「暴力によるしつけのストレス」の影響で、むしろ問題行動がエスカレートする恐れも。
または、飼い主を「自分(犬)の完全な敵」とみなして、攻撃してくるようになるかもしれません。
6:他の問題行動の発生・悪化
- ストレスの影響で別の問題行動を取るように
- これまで「大した事ない問題行動」だと思っていたものが悪化する
なんて可能性もあります。
人間もストレスが溜まると、趣味で遊んだり身体を動かしたり、
「ストレスの発散」をすると思いますが、
犬の場合は「人間からすると問題行動なこと」でストレスを軽減しようとする事があるんです。
7:問題行動のぶり返し
「暴力でのしつけ」によって犬の問題行動が止まる可能性もあります。
でも、
- 暴力の中断
- (犬側の)暴力への慣れ
などによって問題行動がぶり返すこともあります。
8:飼い主がいないと悪さをする
つまり、「鬼の居ぬ間に……」ということですね。
「自分(犬)に暴力を振るう人」がいないときには、問題行動が出てもおかしくありません。
なぜ「犬を暴力でしつける事への見解」を出したのか?
NHKの某番組がきっかけです。
「犬の訓練所」が紹介されたのですが、
- 犬の頭を何回か叩く
- 竹の棒で殴打する
などの暴力が見受けられました。
これについて、「日本動物福祉協会」が、
「暴力もしつけの役に立つという誤解が広まるかもしれない」と言って、
NHKに向けて、再放送の中止などを要求する要望書を出したそうです。
この流れもあって、声明が出されたという事でしょうね。
訓練所側の意見も知っておきましょう
ですが、この訓練所に預けられる犬の中には、
- 全力で噛んでくる
- 雄叫びをあげる
- 歯を出して威嚇してくる
などの「重度の問題行動」を見せるワンちゃんも少なくないそうです。
また、「精神的な問題で散歩さえできなかったのに、きちんと生活できるようになった」などの声も届いているとのこと。
訓練士さんの主張をまとめるとこうです。
- 暴力そのものには反対している
- 他の訓練所で扱い切れない犬を預かることが多い
- 殺処分されるよりはいい
- 「暴力を使わないしつけ」の研究を進めるべき
つまり、
「暴力でのしつけは本来はダメだが、そうしないと殺処分される犬もいる。
暴力じゃないしつけの方法を探り続けるべき」
ということでしょうね。
読者のみなさんは、この一連のことについてどう感じたでしょうか。
答えの出ない問題かもしれませんが、それでも考え続けることが大事だと思います。
犬を暴力でしつける前に飼い主がすべきこと
「犬の問題行動によって、人間が追い込まれる」と、飼い主は暴力を振るってしまうかもしれません。
そうなる前にすべきことを紹介しますね。
1:獣医師への相談・診断
犬の問題行動の原因が病気にある可能性もあります。
ですから、まずは獣医師に診断してもらうことをおすすめします。
また、病気でないとしても、獣医師から「しつけ」などに関するアドバイスをもらえるかもしれません。
2:家族への相談
家族に相談するのもいいでしょう。
特に「犬を一人で飼うことから来るストレス」のせいで、暴力を振るってしまう場合はなおさらですね。
3:「正しいしつけ」を学ぶ
ドッグトレーナーに相談して「正しいしつけ」を勉強するのも手です。
ただし、ドッグトレーナーによって方針に差があるかもしれないので、「トレーナーに丸投げ」するのはNGです。
あとは、インターネットや本で「しつけの方法」を調べるのもいいですが、
「とにかく情報が山ほどある」ので、複数のサイト・本をチェックしましょう。
一つのサイト・本を鵜呑みにすると、大変なことになるかもしれません。
犬のしつけでお困りの方は是非一度LIN無料相談ください。
https://line.me/R/ti/p/%40uvu4412x
まとめ
犬を暴力でしつけるのは厳禁。ほとんどの人が「それは当然」と感じるでしょう。
ですが本当に大事なのは、「暴力がいけない理由」を把握することや、
「事情があっての暴力も存在していること」を知る(知るだけ。肯定する必要はありません)ことです。
あとは、ご自身でしつけの勉強をすることも重要ですね。