子犬を家族に迎え、新しい生活が始まると「早く一緒にお散歩に行きたい!」とワクワクしますよね。
しかし、動物病院の先生からは「ワクチンが終わるまでは外に出さないでください」と言われることが一般的です。
「じゃあ、散歩デビューは生後4ヶ月以降?」「それまでずっと家の中だけでいいの?」そんな疑問を持つ飼い主さんも多いはず。
実は、将来「お散歩が大好きな犬」に育てるためには、
地面を歩かせる前の「準備期間」が非常に重要です。
今回はプロドッグトレーナー・川島先生の解説を基に、
ワクチン前から始められる「環境慣らし」の方法や、抱っこ散歩のメリットについて詳しく解説します。
記事監修:犬のしつけハグ 川島 恵
Kawashima
1. なぜ「ワクチン前」からの環境慣らしが必要なのか

一般的に、混合ワクチンの接種がすべて完了(通常生後3回目)してから2週間ほど経つと、地面を歩かせての散歩が解禁されます。
しかし、この時期を待っていると、犬にとって最も大切な「社会化期」のピークを逃してしまう可能性があります。
社会化期とは?
生後3週齢から12〜14週齢(約3ヶ月半)頃までは、好奇心が恐怖心を上回り、新しい刺激を柔軟に受け入れられる「社会化期」と呼ばれます。
この時期に外の世界の音や匂い、景色に触れていない犬は、成長してから極端に怖がりになったり、物音に敏感に反応して吠えたりするようになるリスクが高まります。
安全に外の世界を見せる方法
もちろん、ワクチン未完了の状態で他の犬が多く通る地面を歩かせるのは、感染症のリスクがあり危険です。
そこで推奨されるのが、飼い主さんが子犬を腕に抱いて外に出る「抱っこ散歩」なのです。
2. 抱っこ散歩がもたらす4つの大きなメリット

地面を歩かせなくても、抱っこで外に出るだけで子犬には膨大な情報が入ってきます。
これが将来の「歩く散歩」へのスムーズな移行を助けます。
① 視覚的な刺激に慣れる
外の世界には家の中にない動きがたくさんあります。
- 走る車やバイク
- 風に揺れる木の葉や看板
- すれ違う人々(大人、子供、制服を着た人など)
- 自転車やベビーカー 抱っこされながらこれらを眺めることで、「動くものは怖くないんだ」という認識を植え付けることができます。
② 音の刺激に慣れる
家の中は静かでも、外は音の宝庫です。
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車の走行音やクラクション
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工事の音
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鳥の声や風の音
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人の声 いきなり地面で歩き始めた時に大きな音がすると、パニックになって逃げ出そうとする子がいますが、抱っこ散歩で少しずつ音のボリュームに慣れていれば、落ち着いて対処できるようになります。
③ 匂いの刺激に慣れる
犬にとって最も重要な感覚は「嗅覚」です。公園の草木の匂い、アスファルトの匂い、他の動物の気配など、外の空気に触れること自体が子犬の脳を刺激し、知的好奇心を満たしてくれます。
④ 飼い主さんの信頼関係が深まる
「怖いことがあっても、飼い主さんの腕の中なら安心だ」という経験の積み重ねは、強い信頼関係(アタッチメント)を築くことにつながります。
これが、将来ドッグランやドッグカフェなど、知らない場所へ行った時の安心感の土台になります。
3. 抱っこ散歩の具体的な進め方と注意点

抱っこ散歩を始める際のポイントを、プロの視点からまとめました。
頻度と時間は「短く、回数多く」
最初から30分、1時間と連れ出す必要はありません。最初は5分〜10分程度で十分です。
「今日は玄関先まで」「明日は角のポストまで」と少しずつ距離を伸ばしましょう。
1日2回、朝晩の数分だけでも毎日継続することで、子犬は外の環境を「日常の一部」として受け入れるようになります。
無理をさせない
もし子犬が抱っこされている最中にガタガタ震えたり、必死に家に戻ろうとしたりする場合は、少し刺激が強すぎるかもしれません。
その場合は、少し静かな場所へ移動するか、一度家に戻って安心させてあげてください。
「怖い」という記憶を定着させないことが大切です。
装着の練習を並行する
抱っこ散歩の段階から、首輪やハーネス、リードをつける練習をしておきましょう。
「外に出る時は首輪をつけるものだ」と学習させることで、いざ地面に下ろす時に装着を嫌がるトラブルを防げます。
抱っこ散歩中も万が一の飛び出し防止のために、リードを手首にしっかりかけておくことが重要です。
4. 地面に下ろした時の反応を予測する

いざワクチンが終わり、初めて地面に足を着けた時、子犬は大きく分けて2つのパターンの反応を示します。
パターンA:好奇心旺盛タイプ
「ここはどこ?」「あれは何?」と、あちこちへグイグイ引っ張って歩こうとするタイプです。
お散歩デビューとしてはスムーズですが、拾い食いをしたり、車道へ飛び出そうとしたりする危険があるため、飼い主さんがしっかりコントロールする必要があります。
パターンB:慎重・フリーズタイプ
地面に置いた瞬間に固まって一歩も動けなくなったり、尻尾を巻いて震えたりするタイプです。
この時「ほら、歩きなさい!」とリードを引っ張るのは逆効果です。
こういう子ほど、事前の「抱っこ散歩」が不足していた可能性があります。
地面に下ろして動かない場合は、無理に歩かせず、その場で座って景色を眺めることから始めましょう。
5. 室内トイレの習慣を崩さない工夫

お散歩が始まると「トイレは外でするもの」と覚えてしまう犬がいますが、これは飼い主さんにとっても犬にとっても、将来的に負担になることがあります。
室内トイレを優先する
川島先生は、お散歩前に家でトイレを済ませる習慣を推奨しています。
「散歩に行かないとトイレができない」という状態になると、台風の日も、飼い主さんの体調が悪い日も、老犬になって足腰が弱った時も、必ず外へ連れて行かなければならなくなります。
「家で排泄をしてから、お散歩(遊び)に行く」という流れを作ることで、お外でのマーキングや不適切な場所での排泄を抑制し、マナーの良いお散歩を楽しむことができます。
まとめ:今日から抱っこで外の世界へ

お散歩デビューは、決してワクチンが終わるのを待つ必要はありません。
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抱っこ散歩は、心(社会性)を育てるための大切な時間。
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視覚・聴覚・嗅覚を少しずつ刺激に慣らす。
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5分〜10分の短時間からでOK。
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首輪やリードの装着にも慣らしておく。
地面を歩くトレーニングは、まず「外の世界が怖くない」という確信を持ってからで十分間に合います。
愛犬が一生お散歩を楽しめるようになるために、まずは今日から抱っこで玄関のドアを開けてみませんか?
犬のしつけ ハグ



