犬は、ご飯をくれる人に一番懐くと言われています。
一緒にいる時間が長い人に懐きやすい傾向にあります。
一緒にいる時間が短くても、他の家族にも懐いて欲しいですよね。
そこで、犬に慣れさせる方法をプロドッグトレーナーが解説します。
Youtubeに頂いたコメントの内容
犬種:イタリアングレーハウンド
月齢:4歳
性別:メス
2ヵ月前に飼い始めた保護犬です。
夫婦ふたり暮らしで基本は私がお世話をしています。
夫に全く懐かず散歩もいけません。
もし私が体調を崩しお世話が出来なくなったら誰が面倒を見るのかと不安で、、、
何かアドバイスがあれば教えて頂きたいです。
宜しくお願い致します。
人に慣れていない犬
保護犬の場合、ご家族の誰か一人にしか懐かないというケースは少なくありません。
主にお世話をしている人にだけ懐いて、他の家族には心を開かない犬もいます。
保護犬は、今までの生活環境が分かり難いことが多いです。
ブリーダーに育てられてきたケースを例に挙げます。
ブリーダーに育てられた場合には、飼育係の人としか出会っていないような環境で育っていると考えられます。
ケージの中に閉じ込められて育っている場合が多く、犬同士の触れ合いさえも少ないケースもあります。
ケージの中以外の環境を知らないことが多いです。
犬が一般家庭に来た時、既に成犬になっていることが殆どです。
成犬になってから外の世界を知ることになると、ちょっとしたパニックになることがあります。
音、ニオイなどの刺激に驚いてしまうのです。
保護犬を迎え入れることになった場合には、保護団体の方に今までどのような環境で生活をしてきたのか、必ず聞いて下さい。
今まで育ってきた環境によって、対応が異なる場合があります。
極端に臆病な性格の犬
保護犬の中には、極端に臆病な性格の犬がいます。
中には人から虐待を受けていたというケースもあります。
人に対してあまり良いイメージを持っていない犬のケアはかなり難しいと言えます。
まずは、人に対するイメージを変えなければならないのです。
虐待を受けていたわけではなく、単純に人との接触が殆どなく、食わず嫌いのような状態の場合があります。
人に対する悪いイメージはなく、警戒心が強いだけである場合には、人に対するイメージを良くしていくことで改善することが出来ます。
言葉の掛け方、触れ合い方などの接し方でイメージを良くすることが可能です。
犬は今から人に対するイメージが作られていくからです。
人に対して悪いイメージを持っている犬よりも、人に慣れやすいと言えます。
極端に臆病な性格の犬でも、今現在の人に対するイメージによって対応が異なるため注意が必要です。
迎え入れる際に、育ってきた環境を聞くことは重要なポイントです。
犬を迎え入れるということは、一生その犬の面倒を見るということです。
安易に迎え入れることは出来ません。
保護犬を迎え入れる際には、1週間~1ヶ月程度の間トライアル期間が設けられます。
犬と一緒に生活が出来るかどうかお試し期間のようなものがあるのです。
お試し期間に、飼う自信を無くしてしまったり合わないと感じて、迎え入れる事を辞めることが出来ます。
実際に迎え入れてから「やっぱり飼えない」となるよりも、お試し期間中にしっかりと見極めることはとても重要です。
1週間のトライアル期間中、ずっとケージから出てこないということもあります。
ドッグトレーナー目線からお話すると、1週間で環境に慣れることはかなり難しいと言えます。
1ヶ月~半年くらいの長い時間を使って見て頂きたいくらいです。
人間の方からは敵意が無いから受け入れて欲しいと思っても、犬の立場からすると直ぐに慣れることは難しいのです。
保護犬を迎え入れたらやるべきこと
様々な環境で育ってきた保護犬を迎え入れた場合、ペットショップ等で購入した犬とは少し異なる対応が必要です。
まず最初に行うことは、こちらには敵意が無いということを教えることです。
また、人間の方から積極的に行くことは避けて頂きたいと思います。
犬の方から来てくれるのを待ちましょう。
警戒心が強すぎると、ご飯は食べてくれませんし排せつもしません。
人の方から積極的に行ってしまっても、恐怖しか感じません。
ケージの扉をあけっぱなしにしておいて、自分から出てくることを気長に待ってあげるなどの対応を気長にやって下さい。
こちらに敵意が無いことを教えてあげる必要があります。
話しかけながら犬の体を触ってあげるという方もいらっしゃいますが、恐怖でしかありません。
個体差はありますが、声を掛けられるだけでも恐怖を感じてしまう犬は、少なくありません。
朝の挨拶をするなど、声を掛けてあげるだけで、良いです。
目線を合わせてほほ笑む程度でも、犬にとっては十分に伝わります。
もちろん、犬の様子を見ながら行って下さい。
少しずつ犬に近づくことで、犬もこちらに興味が湧いてきます。
こちらからではなく、犬の行動を待ってあげて下さい。
ケージの扉を開けたままにしておいて、犬が自ら出てくるのを待つなど気長に対応して頂きたいと思います。
犬が来やすくなるように、接してあげることが大切です。
ご主人様に慣れさせる方法
奥様に対して離れている、ご主人様に対しては慣れていないという状態です。
人に対するイメージが悪いわけではないということがわかります。
男性に対して苦手意識がある可能性があります。
犬によっては、男性が苦手、女性が苦手、子供が苦手など様々なケースがあります。
苦手意識が無いのであれば、ご主人様が奥様と同じような対応をして頂くことで解決することが出来ます。
万が一「奥様さえいてくれれば、問題はない」と愛犬が思っている場合には、奥様以外の人が敵になってしまう可能性があります。
極端な話になりますが、奥様がいなければご主人様を頼りにするしかなくなるので、ご主人の方に来るでしょう。
奥様の方から愛犬にご主人様の方へ行くように促すという方法もあります。
現在、奥様が行っている犬のお世話をご主人様にも少しやってもらって下さい。
犬が執着する先が奥様からご主人様に向くようになります。
現在奥様は、犬に対して時間や労力をしっかり使っているのだと思います。
急にご主人様が奥様と同じように時間や労力を使うということは、なかなか難しいでしょう。
同じようにするのではなく、少しご主人様も関わりを持つことで、犬も少し意向するようになっていきます。
お散歩に関しては、嫌いである可能性があります。
ご主人様が嫌いなお散歩に連れて行ってしまうと、お散歩に連れて行く人のことさえも嫌いになってしまう可能性があるので注意が必要です。
愛犬がお散歩好きであったら、積極的にご主人様がお散歩に連れて行くようにしてみて下さい。
犬が好むことを奥様が全てやってしまうと、ご主人様を必要としなくなってしまいます。
犬は、一緒にいる時間が長い人に執着しがちです。
迎え入れてまだ2ヵ月ということなので、犬の性格を把握しながら対応して頂きたいと思います。
まとめ
あまり人に慣れていない犬と接する時には、距離感が大事です。
こちらから積極的に行くことはNGです。
犬がこちらに来やすい状況を作ってあげた上で、犬が自ら行動することを待ちましょう。
犬は徐々に距離を縮めて来てくれます。
保護犬の場合には、育ってきた環境が分かり難いです。
迎え入れる前に、保護団体に聞いておくことをお勧めします。
人に慣れていないことが多いので、すぐに来てくれることは少ないですが、徐々に距離を縮めて行って下さい。
慣れるまでに2ヵ月から半年程度はかかると心得て、時間をかけて慣れさせてあげましょう。
犬のしつけ ハグ

