はじめて犬を飼う人は、「クレートって何?」「なぜトレーニングしなければいけないの?」と、疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
そんな方にも、クレートについてわかりやすく丁寧に解説をしています。
クレートの選び方をはじめ、前半ではクレートの5つのメリット、後半ではクレートトレーニングの方法を詳しくご紹介します。
記事監修:犬のしつけハグ 川島 恵
Kawashima
クレートの選び方
なぜクレートトレーニングが必要なの?
クレートトレーニングが必要な理由は、クレートは犬にとって外でも中でも安心できる場所になるからです。
分離不安のある犬にも適しています。
クレートは、外出時・お留守番事・災害時など、様々な場面で活躍します。
犬に安心感を与える場所にするためには、飼い主さんにもクレートに関するきちんとした知識が必要です。
もし災害が起きた時、クレートの中で大人しくする事が出来れば、周りの人に迷惑をかける事なく、愛犬と一緒に避難する事が出来ます。
周りの人に迷惑になる事もありません。
他にもクレートのメリットは沢山あるので、後ほど詳しくご説明いたします。
クレートとは?
クレートとは、出入り口が格子になっていて、犬を運ぶ事が出来るカゴのような物です。
クレートは、プラスティックで出来ている物が多いのですが、布製の物もあります。
他にも、大きさやタイプは様々あります。
クレート選びのポイント
クレートを選ぶ際に最も重要なポイントは、大きさです。
その犬に適したサイズのクレートを選ぶ事が大切です。
目安は、犬がクレートの中で方向転換出来るくらいの幅と大きさの物です。
狭すぎると窮屈ですし、逆に広すぎると犬にとっては、あまり心地の良い場所にはなりません。
もし広すぎたら、毛布などで調節しましょう。
犬が成長すると、クレートが合わなくなってしまうので、その時には犬のサイズに合わせて買換えする事をお勧めします。
プラスティック製のクレートと布製のクレートのメリット・デメリットについてご紹介します
クレートはプラスティック製の物と布製の物があります。
プラスティック製のクレート のメリット
- 頑丈で掃除が楽
プラスティック製の物は、頑丈で掃除が楽というメリットがありますが、多少重いというデメリットもあります。
しかし、愛犬を守る為には頑丈である事は重要です。
布製のクレート のメリット
- 軽くて折りたためる
- 丸洗い出来る
一方、布製の物は軽くて折りたためる、丸洗い出来るというメリットがありますが、ニオイが残りやすいというデメリットがあります。
クレートトレーニングのメリット5つ
- 犬が落ちつける場所になる
- 自立を促せる
- 安全に移動が出来る
- いたずらを防ぐ事が出来る
- 災害時に活躍する
1つ目:犬が落ちつける場所になる
犬は、野生の時には狭い横穴で暮らしていた為、形状がにているクレートのような狭い場所は、本能的に心地良く安心できる場所です。
クレートトレーニングが出来ると、犬にとって心地よい落ち着ける場所になります。
2つ目:自立を促せる・分離不安の予防
クレートは自立をする為に、とても効果的です。
クレートの中で一人で大人しくする事を当たり前にする事で、飼い主さんがいない事への不安を最小限にする事が出来ます。
更に、家庭で犬に主導権を握られにくくなります。
3つ目:安全に移動が出来る
車に乗る時、クレートの中なら安全に移動が出来ます。
電車やバスなどの公共交通機関を利用する際には、クレートのような犬の全身が隠れるケースに入れなければ、乗車する事が出来ません。
クレートトレーニングが出来ていると、周りの人に迷惑をかけることなく、安全に移動する事が出来ます。
犬とお出掛けした場合のマナーと全国の電車料金の一覧の記事は、概要欄にありますので、是非ご覧下さい。
4つ目:いたずらを防ぐ事が出来る・誤飲・誤食の防止
人が居ない時、見ていられない時のいたずらの防止や、誤飲・誤食の予防になり、犬の安全を守る事が出来ます。
5つ目:災害時に活躍する
クレートトレーニングが出来ていると、飼い主さんと一緒に避難する事が出来ます。
普段はおりこうさんなわんこでも、災害時には環境が変わりといつも通りに過ごせるとは限りません。
災害時に、慣れない避難所で過ごす事になると、いつもとは違う事をしてしまいます。
他人に迷惑をかける事なく、また愛犬へのストレスも最小限にする事が出来ます。
周りの人に吠える事はありません。
びっくりして、逃げ出す心配もありません。
実際に、熊本地震で避難生活をしたペットの飼い主様からの声をまとめた物が、概要欄にありますので、是非ご覧ください。
熊本地震における被災動物対応記録集
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3003/full.pdf
クレートの必要性
ペットホテルでは、犬はクレートや同等の狭い場所で過ごします。
クレートに慣れていないと、飼い主さんのいない慣れない場所では恐怖を感じ、ストレスを感じてしまうかもしれません。
愛犬が臆病な性格の犬は、体調を崩す心配もあります。
動物病院へ通う時、クレートトレーニングが出来ていれば、移動中や待合室でも安静にする事が出来ます。
クレートの中は、周りの音や光をシャットアウトする事が出来て、犬が安心できる場所なので、寝床に適しています。
犬と一緒にベッドで寝たいと思う飼い主さんもいらっしゃると思いますが、クレートの中は、良質な睡眠を摂る事が出来る最良の寝床になります。
自由を与えすぎると、落ち着きが無くなり訪問者やインターホンに対して過度に反応するようになります。
クレートトレーニングが出来ていると、落ち着きを与える事にも効果的です。
クレートトレーニング 実践編
クレートに慣れさせる
クレートの中に入る事に対する、抵抗を無くしていきます。
最初から、犬がクレートのような狭い空間に自ら入る事は、あまりありません。
まずは、クレートの上の部分を開けて、扉も取ってしまいます。
クレートの上の部分が無い状態で、中に入る事に慣れさせましょう。
「ハウス」の指示で、犬がクレートの中に入れたら、沢山褒めてあげます。
最初は、「ハウス」の指示で入れない事がほとんどなので、飼い主さんが入れてあげて下さい。
クレートの中に入ったら、しっかり褒めてあげて下さい。
慣れたら、上の部分を付けて、扉はまだ外したままにしましょう。
扉が開いている状態で、先ほどと同じように「ハウス」の指示を出しましょう。
中に入れたら、沢山褒めてあげて下さい。
そして、すぐに出してあげるという事を何度も行いましょう。
慣れてきたら、次は扉を付けます。
扉が開いているのと、締まっているのとでは全く違うので、最終的には扉を閉められるようにしていきます。
中に入ったらしっかりと褒めて頂き、一旦カギを閉めますが、直ぐに開けて直ぐに出してあげます。
中に入っても出られるという意識をしっかりと付けていく事で、犬は何度もクレートの中に入るようになります。
徐々に、クレートの中に入っている時間を長くしていくのですが、まずはクレートの中に入る事に対する抵抗を無くしていく、慣れさせる事から初めて行きます。
少し時間がかかる方法ですが、クレートに慣れさせる為には最善の方法です。
クレートとの距離を延ばす
まず最初に、トレーニング中に犬が逃げてもコントロール出来るように、リードを着用します。
犬に逃げられてしまうと、トレーニングどころでは無くなってしまうからです。
「ハウス」の指示でクレートの中に入れるようになったら、飼い主さんとクレートとの距離を延ばしていきます。
「ハウス」の指示で中に入ったら、扉を開ける前に「マテ」の指示を出して、クレートの中で待たせます。
クレートの中に入った犬が飛び出して来てしまうと対応が出来ないので、扉を開ける前に「マテ」の指示を出して待たせます。
扉を開けた状態でも待つ事が出来たら、「オイデ」の指示語で正面に出してあげます。
正面に来る事が出来たら、しっかりと褒めてあげましょう。
犬がクレートの方を向くように、飼い主さんが方向転換をしてあげて、再び「ハウス」の指示でクレートの中に入るようにします。
まだ、「ハウス」の指示を覚えていない犬の場合には、優しく教えて行きましょう。
1回目の指示でクレートの中に入れたら、褒めてあげます。
2回目の指示でも入らなければ、入れてあげます。
扉は1回1回閉めなくても大丈夫です。
- 「ハウス」・・・中に入る
- 「マテ」・・・中で待つ
- 「オイデ」・・・正面に出てくる
しかりと褒めてあげる
距離を延ばしながら、これを繰り返して行い、指示を出す飼い主さんは立った状態や座った状態など、シチュエーションを変えて、何度も行います。
沢山褒めてあげる事で、中に入ったらいい事があるという風に犬は覚えていき、自ら入るようになってきます。
ここまで出来るようになれば、リードは外しても大丈夫です。
クレートを置く環境作り
犬が落ち着ける場所になるように、環境を整えましょう。
クレートを置く場所は、何処でも良いという訳ではありません。
犬がクレートに入ったら、そのままの状態で部屋に置いておくと、人が横切る度に意識してしまい、出して欲しいという要求が出やすくなります。
クレートは部屋の角に置き、クレートの隙間から人の動きが見えないように、タオルなどで目隠しをして下さい。
人の動きが見えると、犬が落ち着いて入っていられなくなってしまうからです。
空調管理が出来る犬部屋のような別室があれば、その中にクレートを置いて頂けるとベストです。
クレートが置いてある部屋に人が入ってきたら、出してもらえるのかな?と期待をするくらいが良いです。
クレートの中は落ち着ける場所でも、周りの環境が良くないと落ち着く事は出来ません。
クレートを置く環境も重要なのです。
クレートの中にいる時間
最初からクレートの中で長時間大人しくしている事は、難しいです。
最終目標は人によって異なりますが、飼い主さんの睡眠時間やお留守番の時間と同等の8~9時間です。
時間のトレーニングは、30分程度からはじめて下さい。
なぜなら、急に長い時間クレートの中に入れてしまうと、イメージが悪くなってしまうからです。
飼い主さんが家にいる時、休日などで構いませんので、犬と遊べる時間であっても30分~1時間程度クレートの中で大人しく出来るか、確認してください。
徐々に時間を延ばして、最終目標時間に到達させて下さい。
半日に1回くらい、トイレに出してあげましょう。
健康状態が良好であれば、トイレの我慢は問題ありません。
クレートから出たら、トイレに促してあげましょう。
犬は、クレートの中で過ごす時間は眠るという習慣がつきます。
空調で管理された部屋で、静かで寝やすい環境を整えてあげましょう。
飼い主さんが外出から帰ってきたら、クレートから出してあげるようにすると、飼い主さんがいない間は、問題行動をする事なく、クレートの中で大人しくお留守番が出来て、しつけや犬の健康管理にもとても便利なので、是非お試し頂きたいと思います。
また、災害が起きてしまい、犬と同行避難をしなければならなくなった時、クレートは大活躍します。
普段、フリーな状態で生活をしている犬や「ハウス」の指示が通らない犬は、一緒に避難する事は難しいです
避難所には動物が苦手な方もいます。
そんな中で、犬と一緒にいる為にはクレートの中に入っていなければなりません。
しかし、急に入れても無駄吠えをしてしまい、周りの人に迷惑をかけてしまいます。
いざ、避難所へ行くとなってからのトレーニングは無理なので、今から備えておくと飼い主さんだけでなく、愛犬の為にもなります。
クレートに入れるお勧めのタイミング
クレートトレーニングを効率よく行う為には、犬のコンディションも大切です。
犬は、食後や運動の後に睡眠欲が出ます。
そのタイミングでクレートトレーニングを行うと、効果的です。
犬が興奮している状態で行う事はお勧めできません。
お散歩から帰った後のちょっと疲れていると思われる時も、お勧めです。
クレートの中に入ったら寝るという習慣が付きやすいので、比較的スムーズに大人しく入ってくれるようになります。
クレートトレーニングは本当に必要?
「クレートの中で寝なくても、サークルや決まった場所で寝られれば大丈夫なのでは?」
「トレーニングなんてしなくても、おやつで誘導すれば入るでしょう」
と、思う方もいらっしゃるでしょう。
トイレトレーニングとも関係していますので、サークル内での寝床に関しては、また別の機会に詳しくご紹介いたします。
クレートトレーニングに限らず、犬のしつけ全体に関する事ですが、おやつを使って飼い主さんの言う事を聞かせようとすると、どんどんエスカレートしてしまい、おやつが無くては何も言う事を聞かなくなる可能性があります。
災害時などはおやつを用意することが難しくなるかもしれません。
緊急時におやつが無くて言う事を聞いてくれないと、他人に迷惑をかけてしまう恐れがあります。
おやつは、コミュニケーションの1つとして取り入れて頂き、しつけは言葉のみにしましょう。
上手に出来たら、沢山褒めてあげるトレーニング方法をお勧めします。
まとめ
クレートとは犬を運ぶ事が出来るカゴのような物です。
クレートは、プラスティック製の物や布製の物などがあります。
プラスティック製の物は、少し重いのですが頑丈で洗いやすいというメリットがあります。
布製の物は、臭いが残りやすいのですが、丸洗い出来て、軽くて折りたためるというメリットがあります。
クレート選びのポイント
狭すぎたり広すぎたりすると、犬にとってあまり居心地の良い場所にならないので、犬に適した大きさの物を選びましょう。
成長してサイズが合わなくなったら、買い替えて下さい。
クレートトレーニングの5つのメリットとは
落ち着ける場所になる
犬は、野生の時に狭い横穴に暮していたため、クレートのような狭い場所は安心できます。病院に行く時や、ペットホテルを利用する際に大変便利です。トレーニングを行う事で、クレート内は安心出来る場所だと認識するため、寝床として利用する事ができます。
自立を促せる・分離不安の予防
お留守番の時など、飼い主さんが居ない事への不安を最小限に抑える事が出来ます。
また、家庭で犬に主導権を握られ難くなる傾向にあります。
いたずらや誤飲・誤食の防止
人がいない・見ていられない時のいたずら行為の防止や、犬の安全を守る為に必要です。
また、自由を与えすぎると落ち着きがなくなり、警戒心が強くなり、訪問者やインターホンに過剰に反応する傾向にありますが、それを防ぐ事が出来ます。
安全に移動が出来る車に乗る時、電車やバスなどの公共交通機関を利用する時など、安全に移動する事が出来ます。
災害時に活躍する
普段はおりこうさんのわんこでも、災害時など環境が変わると、いつも通りでいられなくなる可能性があります。
愛犬にストレスがかからない為、また他人に迷惑をかけない為にも、クレートトレーニングは重要です。
クレートの中で大人しく出来れば、一緒に避難する事が出来て、飼い主さんの負担も最小限に抑える事が出来ます。
クレートトレーニングが出来ていると、犬にとっても飼い主さんにとってもメリットが沢山あります。犬を迎え入れたら、是非!クレートトレーニングを行って頂きたいと思います。