新型コロナウイルスの感染が日本中に拡大するなか、香港ではヒトから犬への感染がみられたとのニュースがありました。
今のところ動物での症状発症はなく、ペットからヒトへの感染が起こるといった事象はないであろうという見解ですが、もし自分の愛犬に新型コロナウイルスが感染したら…と不安になる飼い主さんも多いことでしょう。
今回は自宅やお散歩時にできる、愛犬が新型コロナウイルスに感染しないための5つの防護策をお教えします!
Sea3
新型コロナウイルスはペットに感染する?
香港では、新型コロナウイルス陽性と判定された患者の家庭で飼育されている、ペットの犬からウイルスの弱陽性反応が出ました。
ヒトからの感染と思われる症例が出たことから、中国ではヒトから動物へ新型コロナウイルスが感染するのか、動物から動物へ感染するのか、また動物からヒトへ感染する確率はあるのか、という実験がなされました。
実験の結果としては、
- ヒトから動物への感染は成立する
- 動物間の感染は成立するが、今のところ犬間ではないとされている
- 動物からヒトへの感染は今の所ないとされている
- 感染したペットが新型コロナウイルスによって重い症状が出たり、死んだりすることは少ないと考えられるという結果でした。
現段階では米国獣医師会も「ペットたちには症状等影響がなく、ペットからヒトへの感染があるという証拠はないという見解」と発表していますので、過敏になる必要はないでしょう。
しかしまだまだ正体不明のウイルス。今後どのように状況が変化するかはわかりませんので、最低限の感染防御は必要と言えます。
感染対策その1:飼い主の感染対策を徹底
愛犬への感染経路で一番に懸念されるのが、飼い主からの感染です。
当初「ヒトから犬への感染は、ウイルスの型が違うため起きない」と考えられていました。
しかし、香港で新型コロナウイルス感染者の家庭で飼育されているペットの犬からウイルスの弱陽性反応が出たことで、ヒトからペットへの感染が疑われたのです。
様々な検査の結果、香港政府や日本獣医師会は「ヒトから犬への感染があったと否定できない。飼い主の感染対策を徹底すること」との声明を発表しました。
愛犬に感染させない第一の防護策は、まず飼い主のあなたが感染しないよう対策を徹底することであるといえます。
感染対策その2:顔を舐めさせる、食べ物の口移し、食べ残しをあげる行為はやめる
もしあなたが新型コロナウイルスに感染していたら、愛犬への感染はあなたの唾液からおこります。
顔を舐めさせたり、食べ物の口移しをしたり、食べ残しをあげたり…といった行為をいつも行っていませんか?そのような今後行為は控えましょう。また飼い主のスプーンや食器を使い回すのもよくありません。
新型コロナウイルス以外にもヒトから犬へ感染する病気はありますので、様々な病気を防ぐ意味でもこれらの行為は見直すことをおすすめします。
感染対策その3:多くの人が集まる場所へのお散歩は控える
お散歩のとき、たくさんのワンコが集まる広場やドッグランなどでお散歩している方も多いかと思います。
しかし近くにいた他の飼い主さんから、あなたや愛犬が感染する可能性があるため十分注意する必要があるのです。
今のところアメリカ獣医師会が新型コロナウイルスについて「犬から犬への感染はない」と発表してますが、現在「猫から猫」への感染があると確認されています。今後症例が出てくる可能性もありますので最大限の感染対策を行ったほうが良いでしょう。
感染対策その4:お散歩から帰ってきたら、手足を洗い体表を拭く
コロナウイルスはインフルエンザウイルスなどとは違い、排泄物(糞尿)からの感染も起こします。
お散歩に行った帰りには、しっかりと手足を洗ってあげましょう。その際には、水洗いのみではなく薬用石鹸などで洗うのをオススメします。
体にもウイルスが付着している可能性がありますので、体表を絞ったタオルや抗菌ウエットティッシュで軽く拭いてあげるのも有効です。
またお散歩の際には洋服を着せてあげて、帰ってきたら脱がせて都度洗濯する、という方法も有効です!
感染対策その5:普段と違うことがみられたら、すぐ病院へ!
今のところ、ヒトから犬へ新型コロナウイルスが感染した場合に犬は症状を出さないと言われています。香港の症例で亡くなったのは元々の基礎疾患や老衰によるものであるとされています。
しかし今後絶対に犬に症状が出ないとは限りません。
もし自分の周りで新型コロナウイルス陽性の感染者が出た場合には、特に愛犬の身体の変化にはよく気をつけてください。
体力が落ちていると更にウイルスに感染しやすく、症状を発症しやすくなってしまいますので、元気がない、咳や下痢嘔吐をした、など少しでも普段と違う様子がみられたら、軽症のうちに動物病院へかかるのをオススメします!
もし新型コロナウイルス陽性患者に愛犬が接触したら
日本獣医師会は「新型コロナウイルス陽性となった飼い主と接触のあった犬については、飼い主と同様に人や犬等との接触を避け、仮に臨床症状が認められた場合には、かかりつけの獣医師とも電話相談のうえ、国立感染症研究所獣医科学部 に問い合わせてください。」との声明を2020年3月9日に発表しています。(公益社団法人 日本獣医師会 http://nichiju.lin.gr.jp/covid-19/covid-19_file3.pdfより)
同居しているほかの動物がいる場合、接触を避けるのも必要でしょう。
いざというときのためにクレートやケージに入る訓練をしておくのも大切です。
以上、愛犬が新型コロナウイルスに感染しないための防護策について紹介しました。
まとめ
まだまだ研究が追いつかない新型コロナウイルス。今わかっていることはごくわずかですので、私達飼い主はできる限り防護する必要があります。
今後動物への影響も更に研究されることと思いますが、一人一人が感染防御への意識を高く持つ必要があります。
なかなかお散歩やドッグランに行けずストレスが溜まっているワンちゃんも多いかと思いますが、できる限りの対策を行いながら、お家での時間も楽しんでみてください。
執筆者紹介
大型犬から超小型犬まで、犬4匹猫3匹飼っている3月より都内で働く獣医師です。最新情報をゲットするためにいつもネットやアプリで情報収集しています。正しい情報を発信できる獣医師になるため、日々アップデート中!