狆(ちん)は、日本原産の小型犬です。
微笑んでいるような可愛らしい表情やつぶれた鼻、優しい目、更にシルクのような美しい被毛が特徴の犬です。
見た目の美しさから、宮廷の愛玩犬として育てられてきた歴史をもつ狆(ちん)ですが、どのような性格なのでしょうか?
今回は、狆(ちん)の性格や育てるためのコツなどについてご紹介します。
狆(ちん)の歴史について
名前の由来
狆の祖先は、732年に韓国から日本の宮廷に献上された犬だと言われており、日本書紀にも登場するほど古い歴史を持っていますが、諸説あります。
狆は、ペキニーズやチベタン・スパニエルなどを基に、日本原産の犬種として生まれました。
狆という名前は「ちいさいいぬ」という言葉がなまり、「ちん」と呼ばれるようになったと言われています。
日本では、小さい犬種は全て「ちん」と呼ばれていた時代がありました。
将軍にも愛された犬
犬好きとして有名な徳川綱吉によって、愛玩犬として江戸城で飼育されていました。
その時に「お座敷犬」という言葉が生まれて、狆はお座敷犬の代名詞にもなったのです。
その後も、愛され続けた狆は、黒船で来航したペリーによってアメリカに持ち帰られました。
狆は、当時のアメリカの大統領フランクリンやペリーの娘など、上流階級の人達によっても、愛玩犬として飼育されました。
アメリカに渡った狆は、その後イギリスのビクトリア女王に献上され、繁殖されました。
ヨーロッパに渡り改良された狆は、ジャパニーズ・スパニエルと呼ばれていましたが、スパニエルの血統ではないことから、ジャパニーズ・チンと改名されました
狆の性格
狆は、人懐っこくて愛情深い性格なので、飼い主さんと一緒にいることが大好きです。
甘えん坊な性格なので、飼い主さんとスキンシップをとることに大きな幸せを感じます。
ソファーなどに座ってくつろいでいると、すぐ膝の上に乗ってきます。
長時間のお留守番が苦手で、飼い主さんが忙しくてあまりかまってあげられないと、寂しくなってしまいます。
聡明な性格で、人の言う事をよく聞き理解してくれる能力があります。
社交的で協調性もあるので、先住犬が居ても仲良くすることが出来ます。
無駄吠えをすることも少なく興奮することも少ないので、家庭犬としてとても理想的な性格です。
オスとメスの性格の違いはあまりありませんが、オスの方がより甘えん坊で愛情深く、メスの方がプライドが高く気高い傾向にあるようです。
狆を育てる時のポイント
しつけの仕方
狆は、賢い性格なので、飼い主さんの言葉をよく理解してくれます。
物覚えも良いので、しつけにはあまり苦労することはないでしょう。
幼犬のうちに、基本的なしつけをしっかり行うと、無駄吠えもする心配もありませんし、小さい子供に怯えることもありません。
強いて言えば、プライドが高いところがあるので、狆が興味を示すように工夫をしながら、短時間で効率よくしつけを行うと良いでしょう。
どんな犬種でも甘やかしすぎると飼い主さんの言う事を聞かない、わがままな性格になってしまうので、幼犬のうちにしっかりとしつけを行いましょう。
運動について
狆は小型犬なので、運動量はさほど多くはありません。
個体差があるので、活発に動き回る犬もいますが、室内での遊びでも問題はありません。
外遊びが嫌いな訳ではありませんが、室内で飼い主さんにくっついて遊ぶことが大好きです。
散歩は、1回30分程度を1日2回行う程度で十分です。
狆は、熱中症にかかりやすい犬種なので、夏場の暑い時期に長時間外にいることは避けることをおすすめします。
生活環境について
狆は江戸時代から、座敷犬として人間と一緒に生活してきた歴史がある犬種なので、室内での生活に慣れています。
あまり広くない部屋の中でも、飼育することが可能なので、一人暮らしでワンルームにお住まいの方でも、問題なく飼う事ができます。
しかし、体温調節が苦手なので、エアコンなどを上手に利用して、室温管理をしっかりと行って下さい。
また、フローリングなど滑りやすい床では、足や膝の関節を痛めてしまう恐れがあるので、出来るだけ絨毯を敷くなどして、ケガをしないように気を付けましょう。
狆は、飼い主さんが大好きで寂しがりやの性格なので、長時間のお留守番はさせないようにして下さい。
長い時間一人にしてしまったり、飼い主さんにかまってもらえないと、分離不安になってしまう傾向があるので、十分注意して下さい。
被毛のお手入れ
狆の美しい被毛を保つためには、お手入れを欠かすことは出来ません。
狆の被毛は長くて細いので、毛玉になりやすいという特徴があります。
毛玉になってしまうと、ほどくのが大変なので、毎日のブラッシングが必須です。
ブラッシングは、愛犬と飼い主さんとのスキンシップの時間にもなるので、毎日丁寧にブラッシングしてあげましょう。
また、1ヵ月に1回はシャンプーを行い、自慢の美しい被毛を保ちましょう。
食事について
フードは、年齢に合った物をパッケージに記載されている量だけ、与えるようにして下さい。
時々、飼い主さんの手作りの食事を与えるのも良い事ですが、総合栄養食と記載されている犬種に合ったフードは、栄養のバランスが良いので、基本的には狆用のフードを与えると良いでしょう。
狆がかかりやすい病気
狆は小型犬なので、肘や膝の脱臼や股関節形成不全になりやすい傾向にあります。
その他では、甲状腺機能低下症、進行性網膜萎縮症や心臓病などが挙げられます。
比較的、病気にはかかりにくい犬種で、寿命は10~14年です。
まとめ
狆は、日本原産の小型犬で、昔から愛玩犬としてとても可愛がられてきました。
人懐っこくて賢く、人間の話もよく聞くので、しつけがしやすい犬種です。
飼い主さんが大好きで、無駄吠えも少なく、室内犬として飼いやすいため、一人暮らしの方やはじめて犬を飼う人にもおすすめの犬種です。
寂しがりやな部分もあるので、愛情をたっぷり注いで育ててあげて下さい。